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初めての追跡。

俺は近くにいた兵士の仲間に箱の事を尋ねたが、ニヤニヤするだけでなにも答えてはくれなかった。


〈AM8:20〉


やがて簡易基地設営が終了した頃……


「これより森に入り、採取広場2ヶ所の確保に移る。手筈どうり、隊を3つに分ける。準備ができしだい出発だ」


ここで討伐隊は100人づつの3つに分かれた。A班はラウル、B班をフェルナンドが率い、採取広場の確保を目指す。残りのC班は基地の守備と交代要員だ。


A、B班供、確保する採取広場は比較的近くに存在し、連絡を取りやすく兵士を待機させるにはうってつけの場所になる。


俺はどうやらフェルナンドのB班になった様だ。


A班が出発した後、続けて俺達も出発する。A班と違うのは先ほど馬車で見かけた〈荷物〉を運んでいる事だ。荷車で運ばれるそれは、何が入っているのか検討もつかない。しかし狭い獣道を進む中にあってもその箱は数名の兵士に厳重に守られているかのようだった。


〈AM9:35〉


なんの障害もなく採取広場の確保に成功する。


A班へ伝令を走らせた後、フェルナンドが皆に声を掛けた。


「この場所を中継地とし、これよりゴブリンの根城を捜索する。とは言え、我々【グリフォス】がやるので全員待機してもらいたい。カール、君も来たまえ」


フェルナンドは、俺に荷車を押して付いてくる様に指示をすると、仲間と供に森の奥へ歩き出す。やがて獣道すらなくなった場所で、箱の布を取り去った。


〈AM:10:10〉


「ゴブリン⁉」


取り去られた布の後には檻に入った1匹ゴブリンがいる。眠っている様なのだが体には痛め付けられた後が生々しく残っていた。


「今から魔法で眠っている捕獲したゴブリンを起こし、追跡する。コイツにはある特別な魔石を飲み込ませてある。その魔石から出る微量の魔素をだけを特定し探す事が出来る魔道具がこれだ」


フェルナンドが差し出した手には、懐中時計の様なものがありその針が指し示す場所にゴブリンがいた。


「これはパオロ様がお造りになった物だ……全員風下に隠れて待機。ゴブリンを起こすぞ」


フェルナンドはゴブリンを檻から地面に移し、俺達の所に来ると少し離れたゴブリンに向かって魔法を唱えだした。


『我が契約する精霊のーー』


解呪(ディスペル)! 』


フェルナンドの呪文と供に手にした金属製の細い杖が、僅かに光る。


「……ギッ⁉」


ゴブリンが起きた。


傷付いたゴブリンは少し混乱した様子だったが、しばらくして、ついにヨロヨロと歩き出す。やがてその姿が見えなくなると、俺達は頷き合いゆっくりと後を追いだした。


「……パオロ様にはカールに出来るだけ経験を積ませる様にと指示があってね。他のメンバーも紹介しておこう。〈探索士〉(リチェルカー)のマッド、〈剣士〉のトールとネルソン。3人供【グリフォス】のBクラスだ」


俺は残りの3人と軽く挨拶をする。フェルナンドを含む全員がエドガーと同じ革鎧を着ている。その胸の隅にはグリフォスのマークなのか黒い鳥をあしらった模様が入っていた。


「フム……方向を変えたな。こっちだ」


〈AM11:05〉


ゴブリンが進行方向を変える事が無くなった為、〈探索士〉(リチェルカー)のマッドが急ぎ先に進む。俺達は速度を変える事なくゆっくりと進んだ。


やがてマッドが引き返してきた。


「当たりだ。この先に奴らの根城がある。あのゴブリンは手前で始末した。」

「……で、どんな所だ?」


「……たぶん遺跡。 尖った山の様な形をしていて、周辺は草木が低く、身を隠す場所があまり無い。見張りの数は確認しただけで20匹はいた」


「フム……見張りの数が多いな。やはりパオロ様の読み通り、力を蓄えているのか……我々も確認する案内してくれ。効果時間は短いが〈不可視〉魔法を皆に使う」


ある程度進んだ俺達はマッドの合図で魔法を掛けてもらう。ほぼ透明となった俺達は根城を発見してから約10分以内に戻る約束で行動を開始する。魔法がかかっているとはいえ、効果時間は短く音まで消す事はできない。

それぞれ等間隔に幅を取り、慎重に進みだした。


(これは⁉)


話は聞いていたが、俺は〈遺跡〉を森の切れ目から、目の前にして唖然とする。


それはまさにピラミッドだ。高さは30メートルくらいだろうか……日本のテレビで見た砂漠のピラミッドほどは大きくないが、森の中にあるピラミッドは異様な雰囲気を感じさせる。


ピラミッドの中央下部分には大きな入り口があり、ゴブリンが5匹立っていた。ピラミッドの上部に3匹、周辺を10匹くらいか……昼寝をしてる奴もいる。回りには何かの石造だろうか、2メートル程の石の柱の様な物が数本立っている。


(もうそろそろか……)


俺は音を立てない様に注意しながら戻ろうと振り返った瞬間……


「た、助けてぇ~……」


遺跡の入り口付近で小さな、女の声が聞こえた……。




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