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初めての進軍。

訓練を始めて、ひと月経った。

訓練最終日の今日はパオロが守備隊を全員集めて、何やら話をするらしい。


朝早く訓練広場にある壇上の上に、ラウル、パオロ、そして灰色のローブを着た男がゆっくりと登った。


「フフ……やあ、みなさん! まずは訓練の労をねぎらいたい。君たちはこの2週間で、見違えるほど強くなった! 自分の力に自信を持ち、ガヤの街の繁栄を、永遠に守れるよう心から祈っている! 」


「「ワァー!! 」」


「そしてラウル殿とかねてから約束していた、ゴブリン討伐を明朝に行う! 」


「「おお……!! 」」


「紹介しよう……彼は私のクラン【グリフォス】の〈フェルナンド〉だ。 Aクラス冒険者の魔法使いである。 彼には残りのメンバー3人と、ラウル率いる守備隊とで、共同討伐をしてもらう! 依頼主は私だ。 勿論、依頼達成の暁にはささやかながら、全員に報酬を支払おう。今日は討伐に備えて鋭気を養いたまえ。以上だ! 」


「「うおお~……!! 」」


へっ……うまい事いいやがる。今日は休みか……パオロのオッサンに感謝だな。


ーー


(……て、なんでみんなしてラウルの家に集まってんだ……)


俺は久しぶりの休日を利用して、シャリーとデートでもしようと思い家に来たが、ドアを開けた瞬間に昼間からドンチャン騒ぎの皆を見て後悔した。


「フフ……そろそろ来ると思っていたよ……」


くそ……なんかくやしい。


「我が息子ながら情けない……」


情けないのは昼間から酒に溺れてるお前だ。


「ウフ。カワイイわね……若い頃のパオロを思い出すわ~」


オリビアさん。もう少しフェロモンを抑えて下さい……



「カール! なにデレっとしてんのよ!」


いや、あの……



「「カール! 肉ガジャを作ってくれ!」」



ラウルにエドガー……そうさしてもらうわ。


ーー


「今日は楽しかったわ……」

「フフ……やはり家族は良いな!」


辺りも真っ暗になった頃、ついに宴会もお開きになった。


「カール君、明日の討伐ではあの〈声〉を出してはいけないよ。みんな動きが止まってしまうからね」


「ああ、分かってる」


いよいよ明日だ。今日の話では300人体制で討伐するらしい。ベットに潜り込んだ俺はいつになく興奮する自分に驚きながらも、目を閉じた……。



ーー

〈AM7:00〉


ガヤの街、南門に大勢の人だかりができている。


これ程大規模な人数での討伐は、ガヤの街初めての事だ。もはや戦争に赴く家族を心配し応援するかの様に人々は別れを惜しむ。


「カール、これお弁当……」


「シャリー……心配するな。これだけの人数で行くんだ。ラウルと必ず帰るよ」


「うん……。」


もはや誰かの目を気にする事もない。俺は力強く彼女を抱きしめ……


「フフ……これが若さか! 」


くっ! キスできねえ……


「フフ……どうしたのかね⁉ ためらう事はない! さあ!グッと! 」


このオッサン……いつか必ず!


「ダメよアナタ……邪魔しちゃあ。」


オリビアさんも来てたのか……相変わらず2つの双丘からフェロモン……


「ばかあ! 」


バチッ!


……何でこうなったかは分からないが、約300名の戦士達は家族との再会を誓い合い、歓声に後押しされる様に出発した。


先行する200の兵士に馬車が10台、そして俺を含む残りの100名が後を続く。馬車には3日分の水と食糧が積まれており、それが尽きる前に討伐を完了する予定だ。


俺の装備は白銀に輝く胸あてにランニングタイプのチェインメイル、オーソドックスなデザインの籠手、すべてパオロがくれたミスリルの装備だ。腰にはショートソードと〈刀〉が装着されており、手には槍を持っている。


普通なら、こんな若い男に場違いな装備だと妬みの対象になりそうだが、〈パオロお気に入り〉である俺がゴブリン討伐の話を進めたことをラウルが皆に説明してくれたおかげで、何もトラブルはなかった。


〈AM8:00〉


森の入り口付近にたどり着いた。この場所を討伐作戦の基地とするため、馬車から天幕などの荷物が降ろされていく。俺も水が入った樽を仲間達と一緒に運んでいた。


(……何だあれは?)


俺は1台の馬車に積まれている、布を被せられた大きな箱の様なものを目にする。近くには見張りと思われる兵士が3人いた。










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