表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/84

初めての困惑。

ガヤの街の宿泊施設で夜遅く、一組の夫婦が愛を語らうように絡み合っていた。


「あなた……嬉しそうね」


「フフ……彼のあの〈構え〉と〈動き〉、まさに〈剣道〉そのままだったよ」


「まだ何も分かってないみたいだが、私達が〈転生者〉である事はまだ伏せておこう」



「いじわる……ね」


「フ……エドガーにもいい刺激になっている。利用させてもらうさ。ゴブリンにしてもね。この件が片付いたら子供達を連れてアルティーナを出るぞ。そろそろ奴等も感付く頃合いだ」


「嘘……ね。 寂しいだけでしょ」


「フフ……君にはかなわないよ」


ーー


今日も丸1日訓練だ。


俺は農作業を免除され、代わりに毎日訓練参加を強制させられている。といってもエドガーと一緒に個人メニューだ。


午前中は採取護衛か対人訓練、午後は魔力筋トレに冒険者向け講義。


俺は別に冒険者や兵士になりたい訳じゃない。


農作業が好きです。……嘘じゃないです。



く……今日も疲れた。


そろそろ勘弁してほしいぜ。無愛想なエドガーと長時間一緒にいるとストレスが溜まって嫌になる……


今日の夕食は俺の担当だ。


たまに配給される牛肉モドキと〈ガジャイモ〉を使って肉ガジャを作る。醤油も昔からあるようなので、和食を作るのも簡単だ。


ひょっとしたら俺みたいな〈生まれ変わり〉が昔居たのかもしれないな……



「おいひー!」


シャリー……髪の毛まで食ってるぞ。


ラウルは肉だけ食べるな! 子供か⁉


親父はいつもの酒……どうでもいい。



オカズはこれだけの質素な夕食だが、旨そうに食べる様子を見て日本の母親を思い出す。


(あの人もこんな嬉しい気持ちだったのかな…… )



さて、俺も食うか……


コンコン!


「失礼するよ……」


そんな声が聞こえながらも、遠慮なく開けられたドアの先にはパオロが笑顔で立っている。


「ギリギリ間に合ったかな? 差し入れを持って来たんだが……」


「これはパオロ殿とエドガー君、このような所に……歓迎いたしますぞ! 」


ちっ! お面野郎までいるのか。


パオロがカバンから、次々と料理や酒を出し始める。


「これはすごい! ……いや、酒もですが魔道具ですか?初めて見た。 」



ふ~ん…… なるほどね。


いつも無口な親父が興奮しているが、ようはゲームみたいな物があるんだろ。


俺からすればこんなの狂った世界だ。

……どうかしてる。


ラウルの家は守備隊長をしてるだけあって、俺の家に比べて大きい。昔は自分の部下を呼んで、酒を飲み騒いでいたらしいが奥さんが亡くなってからは、酒をやめているみたいだ。


「エドガー。君も座りたまえ 」

「いや、ボクは……分かりました…… 」


案内されたパオロは椅子に座ると、玄関で立ったままのエドガーを呼び、座らせる。


あ~。面倒くさい事になりそうだ。

早く帰ろう……。


「エドガー……それも外すんだ。」


「「……⁉ 」」


「え⁉ でも…… 」




場が静まり返っている。


「信頼を得る事でも人は成長する。お金で買えない物を得る為には対価である、行動を示さなくてはならない。 この方達は信用できる。さあ…… 」



「「ゴクリ…… 」」



おいおい…… なんか、嫌がってるな。


どうせあれだろ? ブサメンなんだろ? パオロさんもいい事いうな……

コイツの事は好きじゃないし……ひひっ! 笑ってやるぜ。


「……分かりました。」


ゴト……


仮面は一瞬光った後簡単に外れ、テーブルの上に置かれる。


「あの~……」


シャリーが堪らず掛けた声に、耳を疑うような透き通った返事が返った。


「はい。 ……ボクは女です 」




(……嘘だろ。おい! )





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ