初めての気持ち。
「ハア……ハア……!」
ちょっと疲れた。次のゴブリンは?
(いないけど……まぁいっか)
俺はちょっと呼吸を整えて、採取場所に戻る。
えらい騒がしいが、この茂みを越えりゃあ。
(うおっ! いるいる! )
ゴブリンの数が多い。
背中見せてる奴から行くぜ!
「……にぃ~ さん匹目! 」
おっと、間違えた! ……もういいや。
『キエエェェー!』
よっしゃ! まとめて動きが止まった。なんか緑っぽい光りを感じたけど、それどころじゃない。
突いて突いて、突き巻くってやる!
くそ!疲れた! ……⁉ 身体が軽くなった。また光った様な……
おせぇ! もっと速く突きを! ……やっぱ、光った⁉
「いやー! 助けて! 」
女の声だ! こっちのおっさんもヤバそうだが……。
俺は行き掛けの駄賃とばかりに、おっさんを襲うゴブリンの背中を切りつけ、女を連れ去ろうとするゴブ野郎を追う。
やはり〈誘拐〉か⁉ 俺だってまだなのに……。
「ふざけんじゃねえ! ……ガッ⁉」
カールは不意に横からの蹴りを食らい、地面を転がった。
(なんだ⁉ ……でけえ! )
カールの正面に立つ〈ホブゴブリン〉は3メートル近くあり筋肉もはち切れんばかりだ。
(獲物はこん棒か…… くそ! )
ホブゴブリンはこん棒を降りおろし、カールは転がる様にしながらそれを避ける。
……身体は大丈夫だ。これでも食らえ!
転がる時に握った砂利を、ホブの顔に投げつけた。
「ガガッ!」
「つぁあああ!」
こん棒を握りしめたホブの拳にカールの〈突き〉が入る。
「うしっ!」
更にこん棒を落としたホブの太ももに〈二連突き〉が叩き込まれ、膝を折った〈ホブゴブリン〉の喉にショートソードが突き刺さった。
(だめだ……もう限界だ)
女をさらったゴブリンの気配はもう無い。
振り返って見ると、残りのゴブリン達も逃げた様だ。
みんな疲れてへたり込んでいる。
俺は疲れた身体に気合いを入れて採取場所に戻ってきた。
「くそ!ヘンリーが殺られた。……ベンもだ! 」
「なんて事だ! アンナがいない! 」
へっ…… 結構やられたみたいだけど、俺もやってやったぜ。
「おい! ジルー! どこだ⁉ 」
アイツまだ隠れてんのか⁉ しょうがない奴だな。
……くそ。胸騒ぎがする。
俺は最初にいた場所に走り出した……。
「ジルー! 」
血まみれで仰向けになったジルーは俺に笑顔で応える。
「待ってろ! 今助けを! 」
「カール…… 見てたよ…… かっこ良かった…… 」
……うるせぇ! バカ野郎!
「おい! 誰かポーションを! 」
「……知ってた? シャリーは君の……事が…… 」
だから黙れよ!
「……かあ……ちゃん……に……」
「……ご……めん て 」
……おい。悪かった。
たのむから…… ジルー……
しゃべってくれ……




