初めてのゴブリン。
俺たちは森の中を進む。
緊張したのは最初だけだった。なんせ30メートル先を5人の兵士が先行してくれているから、襲われるなら彼らからだろう。
残りの俺達は採取組を囲む様にして進む。俺とジルーは最後列にいた。
「……魔物がいる森とは思えないね」
「ああ……」
そう言いながらもジルーは、緊張している様だ。
しかし槍か……剣のほうが良かったな。なんせ〈前世〉では剣道してたし。
俺は淡い記憶の中にある、日本での生活を思い出す。
小さい頃から親父に剣道を叩き込まれた俺は、才能でもあったのか高校の全国大会で決勝まで勝ち進んだ。
開始直後、中段の構えから面を狙いに行ったが、喉に衝撃を受けてから何も覚えてはいない。
別に剣道なんか好きでやってた訳じゃないから、どうでもいいけど……。
やがて森の中の開けた場所にたどり着いた。
どうやらココで採取を始めるらしい。採取組が少し背の高い草を無言で刈り始める。
俺達護衛組は等間隔で広場を囲んで、見張りに入った。
「ねぇ……」
「…… 」
「ゴブリンって見た事ある?」
「ねぇよ……」
ジルーが話し掛けてきた。静かにしないと隊長に怒られるだろうが。
俺はジルーを見もしないで返事をした。
そろそろ一時間もかかった採取が終わりそうだ。みんなの緊張感が和らいでくる。本来の半分の時間で作業が終わった。
大勢でやれば早く終わるし襲われる可能性も減る。それにこれだけの人数だ。
ゴブリンもビビったんじゃないの?
「ドサッ! 」
「ジルー! 」
ジルーの右隣にいた、おっさんの兵士がいない。いや、覆い繁る草に隠れて倒れたおっさんが見えなくなっただけだ!
俺はジルーに走り寄り、タックルをかます。案の定、倒れ込んだ俺達の頭の上を矢が通り過ぎた。
「ぎゃあ!」
「出たぞ! ゴブリンだ! 」
採取場所は騒然となった。
「ジルーはここに居ろ! 」
俺は矢の飛んできた方向を、数ヶ所確認すると姿勢を低くしたまま左側から回り込む。
(……いた)
矢をつがえたゴブリンが俺に気付くがもう遅い。ドテッ腹に槍をぶち込んでやったぜ!
……くそ!
槍が抜けねぇ。
「やべ!」
向こうに居るゴブリンと目が合った。俺は槍を諦め、ショートソードを抜き出し次のゴブリンに向かって走り出す。
弓を持ったゴブリンが狙いをさだめてくるが、俺はジグザクに走り出す。
「うおっ!」
ゴブリンの矢が横を通り過ぎる!
(あぶっ!)
危なかったがチャンスと思ったその時、茂みから剣を持ったゴブリンがもう1匹出て来た。
(どうする⁉)
俺は向かって剣を持った左のゴブリンに視線を合わせ、走りながら雄叫びをあげた。
「キエエェェー!」
気合いに当てられたゴブリンは怯んだ!その隙に弓ゴブリンの喉を突き、続けざまに剣ゴブリンの首を跳ねる。
剣道なめんじゃねぇ。
作者は剣道の経験……ございません(笑)
ぽちぃ~と応援よろしくです。




