定番ゴブリンも甘くない。
短いですが、初連投です。
「あ……」
颯汰は、思わず息を飲む。
馬車後方から取り囲むように、後を追って来るのは、狼の様な魔獣に跨がったゴブリン。つまりゴブリンライダーである。
その数は、20匹ほど。そして数匹のゴブリンが、馬車目掛け矢を放ち出す。
「ギィン!」
当たると思われた矢が、甲高い音と共に、手前で弾かれた。いつの間にか馬車全体を淡い光りが覆っている。
「ハッ。爺さん、大丈夫だ…………まだ……」
颯汰を助けた男は、頭のカウボーイハットを片手で押さえながらニカッと笑う。
歳は、30代自分と同じくらいだろうか、帽子を押さえるたくましい腕がうらやましいのだが……。
(……まだ⁉まだって言ったよねぇ!この人強いなら、もうやっちゃってるよねぇ⁉)
絶望的な状況に、心の中で激しくツッコミを入れる。
「っと、……そろそろまずいか?」
馬車を覆っていた淡い光りが、矢を受けるたびに霧の様に拡散し始めると、次々に馬車に矢が刺さり出す。
男は、腰から片手剣を抜き出すと颯汰の頬をかすめる様に振り上げた。
「ギィン!」
颯汰を目掛けて放たれた矢が、あらぬ方向へ弾かれる。
「爺さんの命日は、今日じゃねーよ。明日は、知らねーけどなあ!」
「ギィン!」
またも簡単に矢を弾くその男は、豪快に笑う。
「俺は冒険者のジョーだ。ミズリに着いたら一杯ごちそうしてくれよな!」
(おお……この人カッコいい……)
颯汰の頬は、いつの間にか赤く染まっていたが誰も知る事は、ない……。
「来た……」
不意にそう言ったジョーの視線を追うと、遠くに城壁の様な壁が。そして騎馬の集団が横一列に並んでこちらに向かって来る。
彼らは、10名程からなる【陽炎】所属の冒険者だ。
海に面した湾岸都市ミズリの冒険者ギルドから依頼を受け、遂行中である。横に並んだ8騎の内、5騎が前に出ると呪文を詠唱し始めた……。




