戦闘準備は、甘くない。
いらっしゃいませ~!
「ティア……か」
(まさか、泥棒だったなんて……)
冒険者ギルドに戻った俺は、ジョーの部屋で一人、物思いに更けっていた。
あの後、ギルドに入った所で職員に呼び止められ、事の顛末を説明する羽目になり、あのAクラス冒険者からも説明を受け……俺は、とにかく謝った。
幸い、【白い賢者】の顔を立ててくれた事で、穏便に済ます事ができ、ホッとしたところだ。
「しかし…… 可愛かったな~! 」
肩までの、美しい金髪の髪に、低めの身長、ふくよかな胸の割りには、あどけなさが残る顔つき。
男なら……守ってあげたいと、一瞬で思うだろう。……いや、思った。
彼女も未遂扱いで、取り逃がした為もあって、今回は不問となっている。あの二人の冒険者にも感謝だ。
「しかし、最後…… なんか残念そうに…… そうか…… そうだよな……」
(助けたのが、ジジイじゃなあ…… )
鏡を見つつ、残念だったがどうする事も出来ない俺は、気を取り直し、新しく買ってきた物を、マジックポーチから取り出す。
この純白の魔法ローブは、取説が付いており、紙を広げて読んでみた。
「……この商品は、リサイクルです」
「……」
……残念だったが、どうする事も出来ない俺は、気を取り直し、次の新しく買ってきた物を、マジックポーチから取り出す。
何の毒に効くか、よく分からないドリンクタイプの毒消。
やる気が出るドリンクタイプ。
眠気が取れるドリンク。
疲労回復の……
そして、ポーションだ!魔力の流れをイメージできても、魔法が詠唱できない俺は、アイテムに頼るしかない。
それは攻撃する時も同じで、極力、接近戦を避けるために、攻撃魔法のスクロール、魔道書などを大量に購入していた。
純白のローブは、衝動買いだが、魔法が付与されている……んじゃないかと、店員は言っていた。
もちろん防御についても対策している。まずは、ブーツ。
靴底に【ベータゲル】と言うスライムを加工して作った、衝撃吸収材を入れる事により、じじいの膝にも優しいらしい。
……決して騙されたつもりは、ない。
中に着る洋服も、今ミズリで流行りの服にしてもらった。
……じじいでもオシャレは、大切だ。
そして、魔法の指輪だ。右手の人差し指と、なか指に、ミスリル製で美しい銀色の指輪をはめる。
この指輪は、魔法の文字が彫られていて、物理攻撃に対し魔法障壁を張る効果がある。2つで2重障壁だ。
続けて左手にも2つ。こっちは、魔法攻撃に対応する。一応、チェインメイルや胸当てなども試着したが、以外に重くて着る気にならなかった。
接近戦に持ち込まれた場合だが、魔法のダガーを3つ購入している。
魔法によって軽量化されており、メンテナンスフリーの【自動修復】と【切れ味追加】効果を持つ。これを真後ろの腰、両足のふとももに括り付ける。そしてメインウェポンは杖だ。
この杖は、【自動修復】を持つ魔法の杖をカスタマイズしている。
もともと詠唱魔法の触媒としての高級杖だが、中にミスリルを仕込んでいる為に、魔力の伝導率、強度、ともに格段に上がっている。
【硬化】をイメージしつつ殴る。また、魔力で杖に仕込まれた、ギミックを起動させ、先の戦闘に使用した(鎖がま)の様な使い方を想定してみた。
俺は、鏡の前でフル装備状態のじじいに満足しつつ……
「……やっぱ、戦ったりとかやだな~」
一人弱音を吐いていた。
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