表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/84

ヒロイン登場も甘くない。(第2章その2)

「……何だお前は⁉ 」


(よし!食い付いた……後は、時間を稼いで助けを待つ!)


揉め事になった場所は、冒険者ギルドからほど近い。騒ぎを聞き付けた衛兵なども、いずれ来るだろう。しかし、民衆の後押しがあるならと、純白ローブが更なる一撃を加える。


(この流れに……俺は、乗る!)

「フッ、知らんのか?【白い賢者】に……慈悲は、ないぞ?」


(決まった……! さあ! 逃げるか、許しを乞うのだ!)



だが男達は、腰に差していた剣をすでに抜いていた。

「【白い賢者】だあ⁉ ……知らねぇな。 ……ハッタリだろ?」


一触即発に陥った3人の様子を見ながら、野次馬達がドーナツ状に、大きく円を描いていく。

「やべえ! 【白い賢者】対【Aクラス冒険者】のケンカだ!」

「見ものだぜ! 衛兵に邪魔されない様に、しっかり囲んどけ!」



不敵にうつ向いたままの【白い賢者】は、不気味な笑い声を出し始めた。

「フ……フ……フフフフフフフフ……」

(は⁉ ……Aクラス⁉ ただのモブキャラじゃなくて⁉)


「ク…… ク……ククククククククク……」

(VRゲーム系ルート…… 消えたぁぁぁぁ!)



馬鹿にした様な笑い声に、しびれを切らしたAクラス冒険者の〈アルファ〉と〈ベータ〉が、迫り来る!【白い賢者】は、すぐに反応。まるで眩しい光を遮るように、左の手のひらを相手にかざした。


(やっ…… 殺られるぅぅ! ……あれ?来ない…… チャンス⁉ )


アルファとベータは、魔法を警戒しただけの事だったが、次の瞬間……二人は確かに魔力の波動を感じ取った。


(……イメージ! 魔力の流れをイメージ! )



ーーミズリの図書館には、数々の魔法教本が存在する。祖父の事を思い、祖父の事を忘れたかの様に、本を読みふける男があの日いたーー


「ガコォ! 」


その音は、【白い賢者】の右手に握られた杖からだった。杖は、何かの音を発すると同時に、少し大きな先端部分を地面に落とす。だが、先端部分と杖の残りは、青い鎖で繋がったままだ。後ろに居た野次馬達は、それが見えてもアルファとベータには、白いローブが死角となってそれが見えない。見えたのは、【白い賢者】の後ろに突然現れた、巨大な魔力の塊だった……。


「ブォン!ブォン!…… 」

(……キツイ!)


杖の先端部分を遠心力で回す。ただそれだけの事だが、魔力を宿した〈回転する杖〉は、多くの溢れ出した魔力を青い残光に変えた。その光の奔流をアルファとベータは、正面から見据える事となる!


(早く来い! こいつをぶち当ててやる! )



驚愕の光景を目の当たりにした、Aクラス冒険者の二人は、突如剣を鞘に納める。

「やめだ! 【白い賢者】……アンタの仲裁を受入れる」



……その言葉を待っていたかの様に、大歓声がミズリの空に舞い上がる……。



【白い賢者】は、助けられた娘の手を取り言葉を交わし、颯爽と冒険者ギルドに消えていった。










誰か……ブクマを……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ