第6話 固有スキルと所持品
ベルを鳴らすと、すぐにセバスティアンとメイド達が応接間に入ってきたので、先程決めた方針をセバスティアンに伝えた。その後俺たちは各自これから自分たちが寝泊まりする部屋に案内された。
案内された部屋はリビングが20畳以上はあるだろう広い部屋だった。さらに、寝室、浴室、洗面室、どれを取っても広い。
文明レベルは現代の日本とそう変わらないのか、自動洗濯機、冷蔵庫、クーラーなどのようなものも揃っており、家具も盛りだくさんだ。これらは全て電気ではなく魔力で動いているらしいが、仕組みはよくわからない。
これが1人1部屋メイド付きで約40人分用意されていた。
ずいぶん手厚い待遇だな。
俺は部屋に案内され、一通り部屋の設備などについての説明を聞いた後メイドにこの後の俺たちの予定を聞いた。この後は夕食しか予定は入っていないらしく、それまでは自由時間らしい。
日本でこちらの世界に呼び出された時刻は朝だったが、こちらはもう夜のようだ。
夕食まであと1時間くらいはある。
ちなみに、こちらの世界の時間感覚は地球と同じで1日24時間だ。これまたメイド情報である。
現在時刻は午後7時。
8時から夕食なので、それまで俺は終わっていなかったステータス詳細の確認と、所持品の整理をすることにした。
〝ステータス〟と念じ、空中をタップする。
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雨宮秋
年齢:17歳
種族:人間ヒューマン
性別:男
個体レベル:1
〈称号〉魔導師
〈適性〉魔導、武術、治癒術、錬成術、付与術
〈属性〉雷、氷、聖、邪、無
HP:105/105
MP:231/231
物攻:127
物防:123
敏捷:198
魔攻:126
魔防:131
〈スキル〉
〈固有スキル〉
言語理解1、解析記憶、身体操作Lv4
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取り敢えず、先程の話し合いの前までに確認したのは称号、適性、属性までだ。そのほとんどが渡された資料には載っていなかった。
自分でステータスの詳細を確認したことをまとめると、適性は魔導、治癒術、錬成術、付与術はそれぞれ、魔術、治癒、錬成、付与の上位互換。武術に関しては、剣術、槍術、弓術、近接格闘術など、全ての武術がひとまとまりになった適性だった。
これも上位のもので、武器はなんでも扱える資質があり、格闘戦も可能だということだ。
多彩かつトリッキーな攻撃も可能となる。
なんと便利な能力。
属性については予想していた通り全て高位属性であった。雷は風、氷は水、聖は光、邪は闇。
また、無は系統外で、魔力そのものによる攻撃や強化が可能らしい。
あとは、固有スキルの確認だ。
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〈固有スキル〉
言語理解1:言語学習系統スキルの下位スキル。人間語を理解し、会話、読み書きをすることが可能。自動発動型。
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ふむ、これは便利だな。これがあったから、よく分からない字で書かれていた資料やステータス画面が読めたりしていたのか。他のみんなも資料やステータス画面を読めていたようだし、このスキルは全員が持っているんだな。
しかし、人間語だけだ。他の種族がいるならその言語も使えた方がいいよな。クラスアップの可能性が無かったら、勉強しなきゃならないな。
次は、っと
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〈固有スキル〉
解析記憶:鑑定系統スキルの最上位スキル。
視界に入った任意の対象を分析、解析し記憶するスキル。解析結果の保存方法には脳内記憶とスキル内記憶が有り、分けることも可能。
ただし、脳内記憶の場合、これは一種の瞬間記憶能力のようなものである為、スキルを酷使し過ぎると膨大な情報量により、激しい頭痛を誘発する恐れ有り。
スキル内記憶の場合、記憶した情報は脳内会話で入手可能。また、書庫の様に扱うことも可能。
このスキルは様々な情報を蓄積することで進化する。容量は無限で、解析した情報の削除も可能。発動は自動と手動に切り替えが可能。
対象を指定し、意識内でスキルに命令することで発動可能。
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こ、これは凄い。知識や情報は時に力となる。これはその恩恵を最大限に活かせるスキルだ。
本などを解析して、記憶することも可能かもしれない。そしたら言語理解1と併用して他種族語も簡単に扱えるようになるかもしれない。
しかも、解析対象は視界に入ったものだから戦闘にも活かせるかもしれない。
また、食べ物などに毒が盛られているかどうかも確認が可能だ。
使い方次第で何にでも活かせる万能スキルだな。早く使ってみたいが、取り敢えず全部確認してからにしよう。
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〈固有スキル〉
身体操作Lv4:運動神経が特に優れている者に与えられるスキル。
効果:身体能力向上、身体操作力向上
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このスキルは俺の運動神経のおかげだな。
最初からLv4なのは俺が日本でそれだけ身体操作に長けていたってことか。
身体能力と身体操作力が向上するってことは、自分の体をさらに自分の思うように動かしやすくなるということだな。これもいいスキルだ。
一応ステータスの確認は終わったので、荷物を整理をしながら解析記憶を使ってみることにしよう。
俺がこっちの世界に持ってきたのはリュックに入っている物、手提げに入っている物と現在着ている物のみ。教室に入った直後転移したので、身につけていたものは全て持ってきている。これはラッキーだった。他の人はある程度授業の準備をしていた為、既に机の横にバックを掛けたりしていたので手ぶらで転移した者が多かった。
リュックと手提げの中には教科書やノート数冊、筆記用具、電子辞書、1ℓの水筒、弁当、部活用のジャージ、ウィンドブレーカー、運動用の生地の半袖2枚、短パン1枚、タオル2枚、インナー1枚、パンツ1枚、靴下1足、室内用のシューズ一足。
それと現在着ている制服(学ラン)、セーター、上履き、と下着類。
小物はスマホ、モバイルバッテリー(ソーラーチャージャー式)、時計、磁気ネックレス、財布、ハンカチ、ティッシュ、小さな救急ポーチ等。
なぜこんなにも充実しているのかというと、偶々だ。まず衣類に関して言えば、うちの高校にはシャワールームがあったので、俺はいつも部活が終わった後、シャワーを浴びてから帰っていた。その為下着類まで予備があり、タオルも練習用とシャワー用に2枚ある。
また、室内用シューズがあるのは、前日が他校との練習試合だった為、一度家に持ち帰りまた学校に持ってきたからだ。モバイルバッテリーがソーラーチャージャー式なのは以前使用していた物から買い換える時に、万一災害が起こった時に必要だろうと思ったからだ。日本はいつ何処で地震が起こるかわからない。事前に用意しておくに越したことはないのだ。救急ポーチは怪我をした時用のものや部活で使うテーピング類が入っている。
結構色々あったな。まぁいつも持ってきているものだけど。
次は解析記憶の性能チェックだ。