第3話 ステータス
応接間に移動した俺たちはの巨大なテーブル囲むように腰を下ろした。
レイロアは上座に腰を下ろしベルを鳴らす。
すると入り口からメイドと思しき人たちが飲み物を運んでくる。
全員への給仕が終わるとレイロアはどうぞとみんなに勧める。
俺は警戒し口をつけなかったが、ちらほら飲んでいるやつもいた。
レイロアの心中を探ろうと注意しながら顔色を伺っていると、レイロアの背後に控えていた執事服の男が説明を始めた。
「はじめまして皆様。私はレイロア陛下の第1執事を務めているセバスティアンと申します。
早速ですが、先程の質問に答えさせていただきます。
まず1つ目の答えですが、雨宮様の仰る通り魔王を討伐しなければ元の世界に帰ることはできません。
次に2つ目の答えですが、御自分で見てもらった方が早いでしょう。ステータスと念じながらこのように空間を指でタッチしてみてください。また消す際は右上の×マークを押してください。それと、この資料をお読みください。ステータスに関する資料ですのでどうぞ参考になさってください。」
そう言うとセバスティアンは何もない空間を人差し指でタップし、メイド達は資料を配布する。
それに習い俺たちも〝ステータス〟と念じながら空中をタップする。
すると、
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雨宮秋
年齢:17歳
種族:人間
性別:男
個体レベル:1
〈称号〉魔導師
〈適性〉魔導、武術、治癒術、錬成術、付与術
〈属性〉雷、氷、聖、邪、無
HP:105/105
MP:231/231
物攻:127
物防:123
敏捷:198
魔攻:126
魔防:131
〈スキル〉
〈固有スキル〉
言語理解1、解析記憶、身体操作Lv4
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と、透明な板のようなものに表示されていた。
資料によると、ステータスを他の人にも見えるようにするには、任意の相手を意識し、指定しなければ他の人は見ることができないようだ。
周りを見ても他の人のステータスのようなものは見えないので本当なのだろう。
他にもステータスについて説明が書いてある。
しかし、称号、適性、属性どの項目を見ても自分のものはほとんど見当たらない。
適性については、魔術はあれど魔導はないなど全て少しだけ違っている。
もしかして俺のステータスは特別なのだろうか?
そんなことを考えているうちに、セバスティアンが説明に入る。
「皆様資料とステータスに軽く目を通していただいたようですので口頭でもう少し詳しく説明させていただきます。〜〜〜〜」
説明が長ったらしいので、
要約することにする。
〈称号〉はものによって効果は別々だが、ステータス補正や成長補正がかかったりするものが多く、1人1つあるかないか。しかし後から増えたり、クラスアップすることもあるようだ。
〈適性〉も持っていると補正がかかる。
例えば、剣術の適性を持っている者と持っていない者がいるとする。適性を持っていない者は持っている者の数十倍修行しても適性所持者に勝つことは不可能とされている。
適性とは言わば資質の有無のようなものだ。資質の無い者は有る者に遠く及ばない。
これは異世界転移してきた人だと平均所持個数が3、4個で、こちらの世界の人の平均は1、2個である。
〈属性〉には火、水、風、土、光、闇の6属性があり、基本属性とされている。これは、魔法適性が高い属性を示しており、この欄に表示されていない属性の魔法もこの基本属性の中の簡単なものなら使うことはできる。
また、光、闇の属性保持者は少なく、特に闇はこの国にも数人しかいないらしい。
基本的にこちらの世界の人は1人1、2属性だが、俺たちは複数個が基本のようだ。
また、ごく稀にこれの上位にあたる高位属性や、系統外属性があるらしい。現在発見されている高位属性は火の上位にあたる熔、光の上位にあたる聖、系統外に反属性というものがある。
その他、HP、MP、物攻、物防、魔攻、魔防はそれぞれ生命力、魔力、物理攻撃力、物理防御力、魔法攻撃力、魔法防御力である。
HPが0になるとその者は死亡する。
また、HPが削られるということは、生命力、つまり生きる力が低下していることを意味するので一定以上削られると意識が遠のき、体に力が入らなくなる。
MPは魔法やスキルなどをを使用する際に消費し、使い過ぎ、魔力枯渇に陥ると身体に激痛が走るらしい。
〈スキル〉、〈固有スキル〉にはレベルがあるスキルとないスキルが存在し、レベルがあるスキルは最大でレベル10になる。また、スキル同士を融合したりクラスアップしたりもあるらしい。
要約にしては長くなってしまったが大体こんな感じだ。
俺の〈適性〉についての説明は無かった。
〈属性〉は聖が高位属性だということだったが、恐らく他のも高位属性だろう。
ステータスについての説明を終えた後、セバスティアンは3つ目の質問についての答えた。
それは俺たちのクラス準勇者の称号を持つ人が集まっていたためというものだった。
準勇者は正規勇者にクラスアップする可能性が高く、称号の中では最強らしい。
俺、準勇者じゃないわ…
一通り説明を聞き終え顔を上げると、なにやら木村達がこそこそ話しているのが目に入る。
レイロアがそれに気づき、話しかけると木村は、
「周りのやつらは準勇者とか別の称号になってるけど、俺の称号だけ普通の勇者になってるのは何でだろうと思って」
俺はこのお約束通りの展開にため息が出た。