クリムゾンダンス
いくら近距離と中距離に特化した武器でも私には初めての戦いだ。
身体が震えるのがわかる。
「ソラ私の側から離れるな!背中合わせになれ」
「伝説の王蘭使いか、デヴァイスシールドじゃないか。それにソートソード!
随分凄い家来を持つようになったものだなぁフィアー?」
濃い紫の髪の女騎士が言った。
「イオナお前はフォルエナを滅ぼそうとイリアの手先鵺蘭使いになった!
決着をつけさせてもらうぞ」
イオナと呼ばれた騎士が濃い紫の特殊警棒型の長剣を振り出す。
「あんたを倒してから力ずくで王蘭を貰うのも良いわね!フィアーお前はわかっちゃいない!この力に支配される喜びをな!」
イオナが騎士に命じる。
「お前らはそっちの王蘭使いを相手しろ。
首を討ち取った者は叙勲を与える」
剣を持った騎士たちが私を取り囲む。
「ソラ!クナイで戦え
敵は長剣の鵺蘭の騎士だ!
距離を保つことを忘れるな」
イオナの魔剣がエレガドリーに襲いかかり、つばぜり合いが始まった。
エレガドリーは鵺蘭使い相手に全くひけをとらない。
回転して腰の捻りを使いその反動を利用してイオナが斬りつける。
太刀筋をわからなくさせて軌道を変える戦い方は手練れそのもの。
まるで踊っているようだった。
私は紫の目をした騎士たちと、距離を保ちながらクナイを刀を振って発射し続ける。
命中したと同時に敵は吹き飛んでいくが、しかしいっこうに敵の数が減らない。
「フィアーお前たちはここで死ぬんだよ!」
バッテリーは既に半分を切っている!
私は段々と距離を詰められていった。
まだギリギリ中距離だが、このままでは近距離戦闘になる
「ダメだ!この数ではかなわない!」
その時だった。
エレガドリーの手から剣が中を舞ってイオナの後ろに落ちた。
「お前もここまでだ!
弓矢部隊止めを刺せ」
もう終わりだと思った時、少女の声が聞こえた。
「フレイムネットネイル!」
いくつもの火の玉が、周りの騎士たちを襲う。
あっという間に私の周りの騎士たちは倒れていった。
そして少し先の小高い雪の積もった丘の炎の中から、魔法使いの少女が現れた。
「この短時間にこれだけの魔法を使うとはあいつも伝説の武器を使うのか!」
さすがにフィアーと伝説の武器使いが二人居ては分が悪いのかイオナが笑いながら言う。
「フィアー次こそはお前を倒す!
ソラとか言ったな
私はイオナ・フルシャドー
お前の王蘭私に奪われるまでせいぜい大切にするんだな
退くぞお前ら」
さっきまでの戦いが嘘のようにヴァトキア軍が撤退していく
そして少女が雪を溶かしながらこちらに火が向かってきて道を作った。
「大丈夫ですか?私が来たからもう安心ですよ☆くすり、、、」
深紅の髪に深紅の目、ローブを着たその姿は私が知っている魔法使いそのものだった。
ただし右腕にはバッテリーが装着され分厚い本を持ち深紅の花があしらわれたマントが肩から爪先まで伸びていた。
「あなたがシムタウンの魔法使いさんですか?」
「はい!その通りなのです!クライシス・コア・ロイノです☆
この名前は私がこっちに来るとき自分で作りました!!くすり、、、」
「クライシスさんあなたもこの世界に来たんですか?」
「はい!沢山スマホ改造しました!」
「シムタウンに案内して貰えますか?私たちはフォルエナからクライシスさんの話を聞いてきました」
さっきの戦闘と寒さでフィアーと私は疲弊していた。
「大丈夫ですよー!一本道なので!それにここから先は結界がはってあり敵は入れません☆」
クライシスの後ろを見ると大きな赤いドーム状の空間と雪の中に真っ直ぐ雪の溶けた一本の道が見える。
「魔法使い、便利でいいな、、」
「でもまた雪に覆われる前に行きましょう!一日一歩二日で二歩ですよ☆」
クライシスによるとシムタウンのドームはノットファンドファイアという永続魔法で守られているらしい
シムタウンについた私たちは町長からのおもてなしをうけ泊めてもらえる事になった。
暖炉があり暖かい一般的なレンガで作られた町長の屋敷に着いてやっと胸のドキドキは収まった。
エレガドリー騎士団長がベッドに横になり私もベッドに横になる。
私のデヴァイスシールドが光る
ああ充電が切れるんだ。
光が私を包んで私は世界をあとにした。
家でタブレットを充電器に差すと私は鏡を見た。
そこに映ったのは黒髪ツインテールの自分だった。
クライシスの純粋な笑顔、エレガドリーの顔を思い出しながらまだどこか夢を見ているような甘い匂いを思いだしてあまりにも違う安全な現実に感謝した。
向こう側の世界へ行ったのはタブレットが充電を完了したのを確認した直後だった。
目を覚ますとクライシスが寝る前に見たままの状態で私を覗きこむ。
「なんていう名前なんですか?
それがあなたの武器ですかぁ」
「私はトキワ・ソラです。この盾がデヴァイスシールド剣がソートソードです
近距離と中距離でなんとか戦えました」
「ソラさん!
私のお姉ちゃんになってください!
クライシスが居れば遠距離もカバーできますよ☆」
「え!?お姉ちゃん?」
「はい!よろしくお願いいたします☆」
ノスガ自治区の町長は世界を救うためにフォルエナ国にクライシスを連れて行く事を快く承諾してくれた。
こうしていとも簡単にノスガ自治区との協定が結ばれ伝説の武器を使う魔法使いは仲間になった。
クライシス・コア・ロイノ
強力な炎の魔法を使う13歳
真紅の目に真紅の髪真紅のローブを身に纏う
一日一歩二日で二歩なのですよ☆
とくすり、、、
が口癖
名前はこの世界に来た時に自分で作ったらしいが。。。
(異様名)イオナ・フルシャドー
鵺蘭使い
濃い紫の瞳と髪を持つ濃い紫の特殊警棒型の長剣マインドソード使い