北部ノスガ自治区へ
非常に強力な魔法使いが粒子の少ない北部ノスガ自治区に居るというが。。。
「明日は王嬢フィネロード様との謁見だ王嬢様も向こう側の世界の王蘭を持っている
偶然発見されたものでファベルジェの卵という秘宝のなかから見つかった。
フィネロード様は生まれた時に王蘭が無いと生きられない事がわかった。
時の王はフィネロード様が生まれた時に身体に魔法で装着させたのだ」
「明日も長いぞ
今日は沢山眠れ」
そう言うとエレガドリー騎士団長は最初のキスではない優しいキスをして私の部屋を出ていった。
朝陽が照らす中で紅茶を飲みながら私は考えていた
本当に私が戦えるのか
フィネロード様ってどんな人だろう、怖い人じゃないといいな
そんな事を考えていると部屋をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「よく眠れたか?フィネロード様がお待ちかねだ、ついて来い」
この前と同じ大きな赤い絨毯の敷かれた階段を昇る
そんなに時間が経っていないはずなのに沢山時間が過ぎた気がする。
豪華な装飾のされた大きな扉の前につくと
エレガドリー騎士団長がノックしながら言った。
「フィネロード様お連れしました」
「どうぞ」
扉を開けると
ひときわ大きく豪華な広間だった。
王嬢様は綺麗な金髪で青い目をしたとても美しい人だった。
豪華なドレスを身に纏い所々金の装飾がされている
そして私は驚いた
レースの巻き付いた大きな鎌が飾られていたのだ。
「ようこそいらっしゃいましたソラさん
私がこの国の女王、王嬢フィネロードです
思ったよりお優しいお顔をしているのですね
この国を守るため、あなたには北部のノスガ自治区シムタウンへ行ってもらいます
非常に強い魔法使いが居るそうです
伝説の魔法を使う向こう側の者の可能性が高いはずです
敵は王蘭と対になる鵺蘭を使う者たちですが
自治区という狭さを守りきれるほどの強さなら伝説の魔法を使うのもうなずけます
フィアー・エレガドリー、あなたが連れていきなさい」
「は!ではすぐに部隊を指揮します」
「いえ、目立つようでは敵に見つかった場合危険です
たとえこの国で一番強い騎士と伝説の武器の所有者でも敵の軍団に見つかればどうなるかわかりません
二人で行くのです
上手くいけばノスガ自治区とも協定を結べます
陽が傾いたら向かいなさい」
「は!わかりました失礼します」
「し、失礼致します」
「あの、エレガドリー騎士団長
フィネロード様の部屋に飾ってあったあの大鎌はなんですか?」
「あれがフィネロード様の王蘭の武器だエネルギーは先の大戦で殆ど残っていない」
「それって!」
「ああフィネロード様にとってもこの国にとっても時間が無いのだ
フィネロード様の王蘭を研究したい所だが少々変わった事情でフィネロード様の王蘭はフィネロード様の身体自身に魔法で埋め込まれている
一刻も早くヴァトキア国を倒しこの世界の王蘭を開放しないとフィネロード様の命は無い
鵺蘭では意味がない。
夜までゆっくり休め
ここを出てからは沢山歩く事になる」
部屋に戻りベッドに横たわると自然と眠りはすぐにきた。
甘い匂いにまた包まれる
キスをしていないせいで唇が渇いたような変な錯覚をおこす
フィネロード様の美しさもまるで映画を観ているような
現実感を無くすようなそんな人だった。
「5時になった出発の時間だ」
エレガドリーは話しかけた相手がまだ眠っていることに気付いた。
そしてそっと口づけをする
無理矢理舌を押し込むとソラが起きたがそれでもやめなかった。
甘い匂いに包まれながら淫靡な空気がただよう。
「んっんっは、ぁ」
ソラはキスで起こされるという経験したことのない快楽に身を任せた。
自分の心が掻き乱されるのがわかる。
「もう時間ですか?フィアーさま」
自然と二人きりの間ではそう呼ぶようになっていた。
主従関係なのかわからない
どこまでしていいのかも
そう理性が訴えかけようとしても唇がそれをやめさせる
フィアーの熱が伝わってくる
溶け合いそうな唇
唐突にキスは終わった
束の間の微睡みは不敵な笑みで終わりを告げた。
「さあ行くぞ。」
外はもう真っ暗闇だった。
「この国を出れば敵が何処にでもいると思え」
そう呼び掛けるフィアーはいつものエレガドリー騎士団長だった。
さいわい雨は降っていない
荒涼とした大地に僅かな草木
所々に魔法で焼け焦げた跡や馬の蹄鉄の跡が残っている。
「このチャーター平原を抜けた先の
あの雪山の麓の町がノスガ自治区シムタウンだ
それまで神経を張りつめろ
北部は粒子の滞留がないからヘルツゾンビの活動は弱まるが鵺蘭使いは戦闘ではそこまで影響を受けない
敵と出くわさない事を祈るしかない」
微かに雪山が見える
もうこの世界には慣れたけど魔法が使えるってどんな気分なんだろう
私はそんなことを考えながらエレガドリー騎士団長と雪山の麓を目指した。
次第に寒くなり北部に近付いてきているのがわかった。
「寒くなってきたなもうすぐシムタウンだ
ん?待て!
様子がおかしい」
前を見ると騎士たちが見える
後ろにも振り返ると20人ほどの騎士たちが見えるのがわかった。
「あれはフォルエナ軍ではない!
先を急ぐぞ!」
雪国に鎧では寒さや凍傷の可能性、重さもあるためエレガドリー騎士団長はマントと盾と長剣の軽装なのだ、あまり戦闘向きではない
しかし雪道に足を奪われ上手く進めない
「クソッこのままでは追い付かれる
いくら私とお前でもあの人数を相手にするのは難しい
お前は伝説の武器を持っていても戦闘経験は無いからな」
そうこうしている間にあっという間に挟み撃ちにされてしまった。
紫色の剣を持った騎士たちに囲まれる
エレガドリーと手合わせをした時とは比べ物にならない緊張が鼓動を早めた。
濃い紫色の髪をした騎士がリーダーであろうことがわかった。