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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

解体者ーカイタイシャー

作者: 死蘭

耳を澄ませば聞こえてくるのは悲鳴や叫び声ばかり。叫ぶ人は皆、声が異常な程かれ、割れている。

ナイフを肉に刺す音が異様に響く。肉がブチブチと音をたて、ハサミで切られる紙のようにあっさりとナイフは腹部を切り裂く。血はそこから湧き水のように溢れ噴き出し、"狂気"の顔にべっとりとへばりつく。

色鮮やかな血液。腹部から見える臓器。肝臓、胃、腎臓、大腸…さらに胸部を切り裂くとそこには肺と美しい心臓があった。赤く染まった心臓は脈打ち、"狂気"はニヤリと笑う。

美しく脆い臓器が今、目の前にある。

その中でも一際目につくのはなんといっても小腸だ。大腸に大事そうに囲われたベビーピンクの色のようなそれは引きずり出そうと手を入れるとグチョグチョと気味の悪い音を立てる。"狂気"にとってその音は気味悪いではなく、心地良い音である。

腸の一部分を握り、勢い良く引き出すと所々で千切れる音が聞こえる。それと同時に解体される者が声にならない悲鳴をあげ、そして曇り空へと溶けていく。

腸はズルズルと引き出され、それはまるで血まみれの蛇が腹から出て行くようであった。

血が腹部から止まることなく溢れ出る。小腸の尾はまだ見えてこない。解体される者の顔が視界にふと入る。解体され、ただの肉の塊になりつつあるその者の目は上をむき、何も映さず、ただ遠くを見つめているだけだった。何も捉えていないのだ。

腸を引きずり出し終える頃には悲鳴はおろかピクリとも動かなかった…そして全てを解体し終えるときには無音であった。

           ーつまらないー

ただ一言、何もない灰色の空で、一人の"狂気"は呟く。

そしてようやくまわりにもう一度耳を傾ける。一番最初に耳に飛び込んできた音はやはり悲鳴だった。次に聞こえたのはチェーンソーの軽快な音……次々に聞こえる音の中で微かに聞こえるのはなんとも心地良い、体が裂け、弾ける音。

           ー次へ…次へ…ー

ニヤリと不気味は笑みを浮かべ、目は充血し、今にも飛び出しそうだった。手には赤黒い刃物を持っている。

そして"狂気"は次の獲物を求め、動き出す。












悲鳴とグロテスクな音が狂想曲を奏でる世界でーーーー

             ーーー今日も解体者は獲物を喰らう

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