第四話 初めまして、クライティア
身体全体を覆う白い光は、徐々に光を失い目の前はやがて真暗となったかと思うと、誰かに身体を触れられ持ち上げられた感覚とともに、光を感じるも目を開ける事が出来ない。
(誰だ、俺を持ちあげるのは? って言うか身体が自由に動かない。 くっ、俺は最強のステータスと言う恩恵をもらっているはずではなかったのか?)
俺は自分の体に何が起きているのか分からず必死に声を出そうとも、目を開けようとも自分の意思では何故かどうする事も出来ないでいたが、突如つっかえている何かが取れたかのように声が自然と出た。
「おんぎゃぁ(こんにゃろーー)」
まだ、目は開けられないが俺の声を聞くと、周囲の喜ぶ声がかすかに聞こえてきた。
「クレア、よくやった。 元気な男の子だ」
「えぇ、よく見せて。 これが私達の可愛い赤ちゃん」
(ん? 赤ちゃんだと?)
……誰が?
…………俺かぁ!
(まじか、赤ちゃんスタートなんか聞いてねーぞ、てか恩恵は大丈夫なんだろうな?)
こんな大事な事、神は俺に説明しただろうか。 思い出すと何となく説明していたような気がしなくもない。 となると現時点では、この両親頼みとなるわけだが。
(まぁいい。 じたばたしても始まらん。 今はマミーの母乳イベントを堪能するのが先だ。 名前は格好いいの頼むよ、顔はハンサムフェイスがいいなぁ)
そう思いながら、俺は母親の腕に抱かれていると、睡魔に襲われ意識が遠のいていった。
「あら、眠っちゃったみたい」
「名前、決めてあるんだろ?」
母親は赤ん坊の寝顔を微笑ましい笑みを浮かべ、生まれてきたらこの名にしようと決めていた名を告げる。
「えぇ、男の子だったら『クール』って決めてたの」
「『クール』か、いい名前だ。 俺のように硬派な男に育つよな」
俺は意識が遠のく直前に、赤ん坊って何も考えないでぐっすり眠れて、これだけで幸せな事なんだなと久しぶりに、気持ちよく眠れるそんな気分になった。