第二話 選択肢のない二択
俺は窮地から脱出できたのかと、ほっと胸を撫で下ろし、周囲を見渡す。 何もない所だなと内心思いながら再び前を向くと先程までいなかった、この世の者とは思えない程の美女が姿を現していた。 俺は良くできた人形だなと胸やお尻を試しに触れてみる。
「……君の頭の中はお花畑なのだな。 いっその事失ってしまった方がいいんじゃないか?」
俺は突如人形だと思っていた人物に話しかけられ、物騒な物言いを恐怖と思いながらも聞き返す。
「あの……何を失うんでしょうか?」
「君の性欲そのものに決まっているだろう」
そう言いながら満面の笑みを浮かべる目の前の人物を見て俺のジュニアがキュッと縮んだ。
「まぁ私は神だから、何とも思わないが君の世界であればかなりまずい事なのではないのか? 少しは自重したまえよ。 と言うか、次気安く触ったら消滅する事にする」
「!? す、すみませんでした!」
俺はどんなピンチの時も切り抜けてきた、このジャンピングスライディング土下座をして許しを乞う。
神と名乗る目の前の女性は、呆れ顔で話が進まないから顔をあげよと言い、本題へと入っていく。
何でもこれから、俺は異世界であるクライティアと言う星へ行き、その星へと逃げ込んだ堕神と言う者を倒してほしいと言う事であった。
「堕神とは言え神である事に変わりはない。 なのでもちろん、クライティアに行ってもらう際には君には多大なる恩恵を与えると共に君の性欲も残してあげようではないか。 因みに元の世界に戻っても構わない。 心配しなくとも全裸で性欲のない状態でさっきと同じシチュエーションの状態で戻してあげるさ」
「もはや罰ゲームじゃないですか! 分かってて言ってますよね? ねぇ、分かってて言ってるよね?」
おどけた表情を見せる神、これは確信犯だと俺は仕方がないので異世界に行く方向で話を進める。
「で、クライティアでしたっけ? 行くとした場合、俺はどんな恩恵を受けられるんですか?」
「君には最強のステータスを授ける。 ただし条件があってな、4人の勇者を育成する必要があるので、まずは4人の勇者を探す旅をしてもらう。 そこまで出来たら次にやるべき事を話すとしよう。 ……で、君はまず5――」
俺は心の中で、勇者育成それはつまりハーレムではないかとウキウキ状態でもはや神の話など耳には届いてなく、早く異世界召喚してくれと言う思いでいっぱいであった。