第九話 エピローグ
~~天界~~
神は天界より鏡を使い、先ほどまでのやり取りを一部始終を見ていた。
恩恵が身体に馴染み、スライムを倒したのを見た瞬間、神は安心し思わず一息ついた。
「ふぅ、予定とは違うが何とかなったようだな。 しかし、恩恵がまさか意志を持つ……とはな」
神はこれまでにも何度か異世界へ転生した事があり、その者には当然恩恵を与えてきたが、今回のように恩恵そのものが意志を持ち、自ら接しようとする事など数百年と言う歴史において過去にそのような事が起きた事は一度足りともなかった。 そのイレギュラーをを起こした彼には、何かを期待せざるを得なかった。
「1年以上も早く恩恵を馴染ませるとは、かなり優秀だったようだな。 もしかしたら、彼であれば繰り返される歴史に終止符を打つ事が出来るやもしれんな。 まぁ自分で目覚めてくれたおかげで、こちらからの最初の接触が必要としなくなった。 少しでも私も力は残しておきたいからな。 後2年、眠りにつかせてもらうとしよう」
神はそう口にすると、鏡を異次元へと片づけると次に来たるべき時のため、眠りについた。
~~ 一方、クライティアでは ~~
「早く大人になりたーーい。 あっメイリちゃん、その荷物持ってあげよう」
俺は恩恵を得た事で早く大人になりたいと、常日頃から言うようになり口癖となってしまっていた。 それと同時にいつ何時、来るべきが来る時の為にナンパの練習もしていた。 その様子を両親は心配そうに影ながら見守る事に決めたようだ。
「クール、名前のようにはなってくれなかったか……」
「クールちゃん、女の子大好きねぇ。 あなたに似たのかしら?」
そして、この間俺がスライムを倒した事により、最近村から忽然と食料が減るという事が無くなった。 どうやら、あのスライムが村に夜中こっそりと侵入し食料を食べていた事が分かったのだが、何故かそのスライムが村に来なくなったと村の人々は大層喜んでいた。