表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第壹話 居る

新しいジャンルのものを書きたくなったので投下します。なお更新は不定期です。

これは私が小学校低学年の時のお話です。その日私は家にひとりで過ごしていた。家族は皆、買い物かなにかで外出中だったと思う。

小さい頃からのんびり屋だった俺は家でぼうっとテレビアニメを眺めながら、宿題どうしようとかそんなことを考えていた。

季節は初夏ぐらい。外は日が傾き始めた頃だったから夕方の六時ぐらいだっただろうか。

あたりは薄暗くなりかけていた。


ガラガラ。


玄関の引き戸を開ける音がした。

その後ドタドタと靴を脱ぎ廊下を走っている音も聞こえる。

帰ってきたなと思い、リビングに入ってきてから声をかけようと思ったが足音はリビングの扉の前に来たところでピタッと止まる。

音が急に止まったことに少々驚いた俺はリビングに通じるドアをチラッと見るが一向に入ってくる気配もない。

ドアにはすりガラスがついており、確かに人影は写っている。

特に用事があった訳では無いがなんとなくしびれを切らした俺は扉の方へ向かおうと立ち上がる。

しかし、立ち上がった瞬間、すりガラスの人影がフッと掻き消えた。



その時、



ガラガラ。



「ただいまー」


再び扉が開く音が響き、弟の声が廊下から響く、そしてドタドタと響く足音。

その数秒後、今度はバンと音がして勢いよく扉が開く。

俺が立ったまま、呆然としている俺と目が合った弟は少し不審に思ったのか顔を傾けたが、再びただいまと俺に声をかけ、俺がおかえりと返すと満足したのかソファーに座りくつろぎ始める。


それと時を同じくして


ガラガラ。


と引き戸の音が聞こえる。今度は閉める音だろうか。


「ただいま」


弟が開けっ放しにしたドアから今度は母親が入ってくる。


「さっきも帰ってこなかった?」


俺が恐る恐る聞いてみると


「何のこと?今帰ってきたばっかりよ?」


母は首をかしげたが特に気にとどめるでもなく

そのままキッチンへ向かい晩御飯を作り始めるのだった。

では俺聞いた玄関の引き戸を開ける音とリビングのすりガラスに写った人影は何だったのだろうか。


この話はここで終わるのだが、後に気がついたことが三つある。


まず一つ目は暗くなり始めた頃、電気をつけて明るいリビングから暗くなった廊下にいる人の影など見えるはずもないということ。

これについてはどういう原理かはわからないが見えたものは仕方が無い。


二つ目、俺は引き戸を開けた音は聞いたが閉めた音は聞いていない。しかし、弟が帰ってきた時引き戸を開ける音が聞こえたことから、扉はしまっていたと思われる。

もっとも、引き戸の音は気のせいだったと言われればそれまでだが。


そして最後にもう一つ、これは二つ目が気のせいではなかったという前提になるが、俺が聞き見たのは、ドアを開く音、リビングに向かってくる足音その二つである。

つまり、|出ていっているところを見ていない«................»。

それ以降何かを見たり聞いたりした訳では無いが、もしかするとまだ、家の中にいるのかもしれない。



あなたはこの話が実話か創作かわかりましたか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ