第二章恋愛神に出会って恋から遠ざかる俺 1
「とりあえず何者ですか?いや、なんですか?」
「だから恋愛神じゃと言っておろう」
これで伝わる人はいないだろな。あっ、進夢なら分かりそうだな。
「あの説明してもらえますか?まったくあなたが何者か分かりませんよ?」
「ふむ、恋愛神じゃ」
・・・・・・・・・・・・・・うん、どうするか。
「もう一度だけ聞きますよ?あなたは「恋愛神じゃ」・・・・・」
よし、聞いても無駄なようだ。もうほっといて寝るとしよう。
「あのもう寝るんで、お疲れ様でした」
さっさとパジャマに着替えてっと、いやいや高校生なってパジャマ着てるわけ無いですよ?ジャージをパジャマって言っているだけですからね?普通に黒の上下です。
「なかなか粋なパジャマじゃの。上下もしっかり玩具の車の柄そろえているしの」
「ふふふふ、なかなか粋なベンツーの柄だろ?」
「何を言っておる?青色のいかにも子供のパジャマって感じの服ではないか」
「どれを見て言っているんだい?どこにそんなパジャマがあるって言うんだい?」
「どこってここにあるではないか、ほれ」
「つまんで強調するな~!」
違うんだ琴莉に服が入れ替えられていたんで仕方なく着たんだよ!さっさと寝てこの幻影を無視しようとしただけなんだよ!・・・・・・・・うん?幻影?今パジャマがつままれているよな?しっかりつまんでいる、浮いているけど。もしかして触れたりできる系?
俺は恐る恐る彼女が服を摘んでいる手を触ってみた。
「なんじゃ急に私の手なんか触って?」
触れちゃったよ!普通にヤワ肌だよ、モチ肌だったよ!久々の女子の質感だよ、ちくしょう!なんだよ実在確定じゃねぇか、少し喜んじゃったよ!とにかく浮いているから人じゃないのが残念でたまらないよ!
「なぜ急に感極まったように泣いているんじゃ?」
「絶望に嘆いているんです!」
もし人だったら、謎の女子が現れて万歳ラノベ主人公昇格だったのに。おお、これってなんかいい響きだ。謎の女子が現れて万歳ラノベ主人公昇格・・・・・・おお(笑)
まぁ実際は謎の幽霊が現れて愕然自分の人生堕落・・・・・自分で言って気分が悪くなるな。さぁ、この謎の女子はなんなのだろう?なんど聞いても「恋愛神じゃ」の一点張りだしな。ほんとに神なのか、浮いているし幽霊とかじゃないのか?
「あの恋愛神さん、聞いてもいいですか?」
「なんじゃ?私は恋愛神であって恋愛神さんではないぞ?」
「あっ、名前あるんですね」
「当然じゃ馬鹿者」
何者ですかって聞いて答えなかった奴はどこのどいつだよ。
「私の名前はデリニア・ストレイティファニー・ノエリカ・ヒチェリトリティ」
「なんの呪文だよ!絶対適当な名前だろ!」
「フルネームじゃ。まぁ、リティと呼べばよい」
「最初からそれでいいじゃないですか。そんなにながい名前は意味なくないですか?」
「ちゃんと意味はあるぞ。長い方が高貴に見えるじゃろ?」
それって意味ないのと一緒じゃん。って名前が聞きたいんじゃないんだよ。
「あのリティさん、聞きたいことがあるんですけど?」
「なんか他人行儀じゃの~、普通に話してよいぞ?」
いや他人以外の何者でもないと思うんですけど?さっき会ったばっかりだし。
「それじゃあ、リティ聞いていい?」
「馴れ馴れしいの~」
どっちだよ!あ~もう無視して話そう、気にした方が負けだ。
「えっと恋愛神ってなんだよ・・・・・・なにですか?」
「くふっ、気にしているの~」
小心者でわるかったな!だって気になるじゃん、馴れ馴れしいとか言われたら気にするだろ!?幽霊(?)でも見た目は女子だし、女子に言われたら男なら気にするでしょ!?
「さっきのは嘘じゃから気にせんでよいぞ、ただイジりたかっただけじゃ」
「はっ、この俺は紳士だから無意識に女性には気を使ってしまうんだよ」
「そういえばおぬしの名前はなんて言うんじゃ?」
ふっ、気にはしない。軽やかに俺の言葉がスルーされたが気にしてない!
「はぁ~、静寂永木。永木でいいよ」
「ふむ永木か、それでおぬしはなにを聞きたいんじゃ?」
あっ、呼んでくれないんだ。別にいいけど。
「全部だよ、なんか流れで話しているけど現在なにもかも意味不明だぞ?」
「そういえば短絡的にしか話しておらんの。なにから話そうかの~」
リティの話ではとにかく恋愛神らしい・・・・もちろんつっこんだよ。何回言うんだよって感じだったよ。まぁ、思ったとおりからかわれただけだけど。
とにかく恋愛神とはその名のとおり・・・・・だったたらよかったんだけどね。
恋愛神とか言っておきながら実際は恋愛からことごとく離されるらしい。なんの因果かリティは俺に取り憑いているらしく色恋沙汰から自然と離れてしまうらしい。
えっ?聞いたときどうだった?誰もが想像しているように俺は真っ青になったよ。いや白くなったな、真っ青なんてなまぬるいぐらいにな!
あまりにも呆然となったままだからリティが心配してフォローしてくれたぐらいだ。
フォローといってもただの可能性を教えてくれただけだが、自然と恋から離れてしまうのは確からしいができない事はないらしい。成功することはないに等しいらしいが、気合でどうにかなるとかならないとか。
気合だけならあるからな、飢えているだけだが。
まったくどこが神なのか意味がわからん。自分で言っているだけでただ単に疫病神なような気がするけどな。もし容姿が美人じゃなかったら神社に行ってお祓いでもしてもらうところだ。
リティは俺が鼻血を吹いたのも仕方ないぐらい美人でスタイルがいい。
神様の作り上げた様なガラス細工の様な顔と透きとおる様に綺麗な黒髪。そしてスラッとした身体。だけど出ているところは程好く出ていている。くそ~、この裸を見た記憶がないだなんてなんたる失態!特に脚線美!
細すぎず太すぎずなんとも神秘的なしっとり感を醸し出している。触ってみて~、純粋に。もう神だろうが幽霊だろうが触れるならいいかも。
「どうじゃ?理解したか?」
「おう、すばらしい足だと思うぞ」
「いったいなにを理解したんじゃ馬鹿者」
「悪いトリップしてた。それでなにを理解したって?」
「私に取り憑かれるのがどうゆうことになるかじゃ」
「理解したくないんだけど、なんで俺に憑いたの?」
「なんでと言われてもの~、憑いてしまったものはしかたないじゃろ。これから覚悟するんじゃな」
「覚悟するって邪魔する気なのかよ?」
「それが恋愛神のつとめじゃからな」
「恋愛を成就させろよ、しかもなんで神の癖に取り憑いたりしているんだよ」
「それが運命だからしかたないじゃろ、男なら覚悟を決めるんじゃな」
なんて理不尽なんだ、勝手にも程があるぞ。
「知ったことか、俺は好きに恋愛してやるからな!」
「ふむ、するなとは言っておらん。ただできないと言っているだけじゃ」
「この俺ができないわけがない。今までずっと恋愛をしてきているんだからな、成就したことはないけどな」
「ふむ、してもしなくても変わらぬのぅ」
「全然違う!しないと成就する可能性はないだろうが!」
「ほー、では15年間振られ続けたのはよかったということじゃな?」
・・・・・・・・・・・・・・痛い・・・・・・・・・・・・・・心が痛い。
「くふっ、どうしたんじゃ?人生を振り返って後悔でもしておるのか?」
「後悔はしてない・・・と思う。ただ悲しんでいるだけだ!」
くそぅ、思い出すだけでなんだか引きこもりたくなる。つーかもう恋愛できなくなるなら引きこもろうかな?
「あのリティ、俺もう引きこもるから話しかけないでくれよな」
「心折れるのが早すぎるじゃろ!どれだけ繊細なんじゃ!」
「うるさい、リティが俺の心を折ったんだろうが!」
「まぁ、こっちからしたら都合がよいからの」
「そこは謝って慰めてくれよ~」
「私になんの得があるというのじゃ?勝手に泣いておれ、冷めた目で見つめてやろうではないか」
「こっちが下手に出ていたら調子に乗りやがって!絶対に彼女作ってやるからな!」
そうだ、何に取り憑かれようが俺がやることは変わらない。
恋愛するのみ!恋するのみ!彼女作るのみ!リア充まっしぐらだ!
「そして振られるだけじゃ~」
「このやろ、いい加減にしやがれ!」
「くふっ、ほれほれ頑張れ~、全然あたらんぞ?恋愛はあたっているがの、砕けているようじゃが(笑)」
「俺の心を砕くんじゃねぇ~(泣)」
書いてあった分です