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5.レビン語る。に

アース=アーシュ

 そこからよ。アースと別れて考えた。


 どうするかって他種族に声かけて、獣人集めてな。奴隷を解放するのに、話し合ったね。

 人間全滅って出たけど、エルフの長が世界のバランスが崩れ、森が滅びるって言うから、別の方法探してなぁ。俺も反対したし。




 そんで、そんなに力が欲しいなら、くれてやろうってんで、商館作ったんだ。

 今まで、個々で、俺ら狩りに来てたから、供給する場所を作ってやろうってな!

 あんまり酷い客には売らず、裏でお仕置きして、少しずつ少しずつ、奴隷の待遇が良くなってた。

 死ぬ奴も、減ってった。

 

 たまに、商館に忍び込む子供が居たけど……。

 くっくっ、アース気付かなくてな。皆、温かい目で見てて、あいつが戸惑ってたぜ。

 あいつが、小細工用の獣の血肉ばら蒔いて帰った後、掃除しながら、ちょっとしたパーティーよ。新鮮な肉だったから、皆で食ってやったわ。

 まだまだ、個々で捕らわれる獣人もいてな、そいつらに情報流して、まぁ最初の俺みたいに、攻撃しないよう説明しまくった。

 この匂いの持ち主に、手を出すなって。




 人間の俺らの扱いは、変わらない。

 だが、比較的体力ある奴や、治癒使えるよう訓練した奴を送り込むようになって、本当、少しずついい方向になってった。


 いつの間にか、奴隷の希望の星なんてアースが言われてて、笑ったよ。


 だけど、アースがぷっつり来なくなった時期があったんだ。来ても、助けに来る頻度も激減した。

 情報で、なんと!王子様の番になるって決まったと聞いてな!嬉しかったなぁ。アースは、番を得て幸せになるんだって。

 



 でも、まぁ寂しかったけどさ。

 相変わらず人間は変わらない。アースがしてきたことがバレると、かなり不味い事になる。だから、俺達は、アースを遠ざけた。


 家から出られないように小細工して、俺らの所に来られないようにした。そしたらあいつ、父親に力を借りようとして、鞭で叩かれてたなんてな……。

 そんな時、アースが、王妃になったら……王子を洗脳して、奴隷解放してやるって呟いてたんだと。

 まだ諦めてねぇのかって、根性あり過ぎだ!俺ら酒盛りしたな。





 でも、気付いたんだ。

 やっと、やっと気付いたんだ。おかしいよな?3歳からだぞ?そこから、ずっと。

 獣人に暴力振るわれても、父親に鞭で叩かれても、王妃教育とかで、幽鬼みたいな顔してふらふらで前に進み続けるアースは、おかしいって。


 あいつ、願いが叶ったら死ぬんじゃないか?ってくらい、凄く生き急いでる。

 俺ら、すげぇ不安になったよ。

 でも番を得るのは、至上の幸福だから、きっと結婚したら、幸せになるんだって思う事にしたけど……。



 ある日、俺ら獣人奴隷に、信じられない話が入ってきた。王子に振られたって。

 泣いたね。見たことないけど、アースを託したのに、あっさり乳のデカイ方選ぶなんてよ!


 意見は別れて、外に連れ出すって、アースを捕らえる家を作り始めた奴もいた。

 俺らは見守ったけど……更に悪い状況になった。

 アースが、反逆罪で、捕まったって!

 しかも、縁もねぇ異世界人助けるために!

 もう、アースは、どこまで自分を削るのか…俺らは、絶望したね。




 そこで、あの王城大量殺人だ。王子と乳デカが死んだって聞いて、少し溜飲が下がったが、今度はアースが行方不明!

 探しに探したよ……。

 見つからなくて、俺らは絶望した。星が消えたんだ、そりゃ皆暗くなるさ。


 で、奴隷商館で落ち込んで、皆で弔いの酒飲んでたら、受付やってる幻術使いの同僚が走ってきて、訳分からない事喚いてきた。

 とにかく、俺に客来たのかと分かって、買われる気分じゃなかったから、不吉色に戻してよ。部屋に入った。








 雷に打たれて、津波に拐われたね。

 あいつがいたんだよ。

 ずっと探してた、ずっと求めてた、あの女の子。





 しかも、不吉色の目をジッと見てきてよ。

 "懐かしい"って言うんだ。

 全身が、震えたね。

 あいつは、やっぱ普通じゃねぇ、流石アース!

 直ぐ帰っちまって、俺って、気付かなくてな。

 その後、直ぐに生きてた事仲間に報告して、皆で泣いたよ。

 夜に、アースの目が忘れられなくて、他の奴隷買ったらやだなと思ったら、いてもたっても居られなくてよ……。気付いたら、アースの匂い辿って、会いに行ってた。後でぶん殴られたけど、会いに行って良かったわ。


 しかも、外に行って、山か森で魔女みてぇに暮らすって、言うじゃんか!

 こりゃ駄目だ。こいつは自分の幸せ忘れてる。

 俺が見つけてやらなきゃって思ってな!

 俺が、アースが幸せになるのを見たいんだよ。




 獣人である俺らに、ずっと全身全力捧げ尽くしてくれて、手を差しのべてくれて、一緒に泣いてくれて、「人」として扱って。

 自分の事は……後回しじゃないんだよ。後で回収しないし。頭に無いんだよな、自分の事。





 そんな女の子。

 今や、獣人の、俺らの、俺の星。

 絶対幸せになってもらわなきゃな!



 覚悟しとけよ、アーシュ様。








レビンの愉快な仲間達

「レビンはまたアーシュ様か…」

「いつ気付くんだろうなぁ」

「いや、気付いてるけど、身を引いて…とか?」

「ないない。レビン頭良いのに馬鹿だから」

「気付いた時、面白そう」

「関係ないわ。アーシュ様悲しませたら八つ裂きよ」

「「「そうだな」」」








お読み頂きありがとうございます。

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