12.言葉の爆弾
お待たせしました。
ずっと、付いてくる。
サラと話し、今は元ゴッキス国の田舎に二人で暮らしていると。都よりは不便だけど、幸せと聞いて、安心した。
体調も戻り、竜人の里を出る時はリュクにしがみつかれ、なんか……目一杯スンスンされた。竜人の国が空飛ぶほど尽力して欲しい。出てくんな。
そして、今。
付いてくるのだ。ブレンネスがずっと悪態つきながら後ろから……。とても、疲れる。
「なぁ、レビン。何時までそれに付き合うんだ?そんなのそこら辺の山で良いじゃねぇか。俺がパパっと探してやるよ」
「駄目だ。アーシュには、 魔物は勿論、獣人、人間も来れない、一年中花が咲いて、作物がよく育つ肥沃の土地で、更に川か湖の近くで、災害もない所に住んでもらう」
「どこにあんだよソコ。てか花いらなくね?」
私もそう思う。何故、花?
あれから私も思うところがあって、レビンに相談したいのだけれど、ずーっとブレンが引っ付いてて話せない。
「ブレンは、」
「ブレンネス」
「?」
「お前に、ブレンて呼ばれたくなくなった」
……そうかそうか。よし。
「ブレンネス様は、何時まで一緒に?同じ方向に用向きでもあるのでしょうか?」
「なっ。お前に関係ねぇだろ!俺は、レビンと一緒にいるだけだ!」
成る程。レビン大好きか……。独り占めしている私が気にくわないのだね?
こんな状況にも関わらず、レビンが呑気に、
「お前ら、ブレンは友達出来たし、アーシュは弟出来たみたいで嬉しいな?」
「「違う!」」
「息ぴったりだぞ」
「目が濁ってるわ、レビン。それはもう死んだ魚のような目よ!」
「そうだ!どこをどう見たらそうなんだよ!」
レビンは、肩をすくめ歩き続ける。
まるで、仕方ない子達だといった雰囲気で。
腹立つわー。
暫く歩いていると、レビンが焼き鳥屋を見つけ、カシラ買ってやるから機嫌直せと走っていった。
屋台のオッチャンに話しかけるレビンを眺めながめていると、ブレンが口を開く。
「おい。お前もうここにしろ。ここに住むって言えよ」
「嫌よ。もっと遠い所に行くのよ。……匂いが届かない所に」
「あぁ、竜人のか。お前さぁ、あんまいい気になるなよ?お前を恨んでる奴だっているんだかからな」
「そうでしょうね」
「っ!それでよく外を歩けるな?お前を襲いに来る奴等にレビンを巻き込むんじゃねぇよ。
空から襲撃とかされたら、レビンじゃ怪我するかもしんねぇんだぞ?お前を守りきれないだろ?今回の竜人だって、空から拐われたらしいじゃんか」
「……」
そんなのずっと前から知ってる。でもまだ外で生きる知識も技術も何もかも足りないし、教わってないんだもの。
言い訳だけど、一度は離れる様に言ったわよ!
でも、一緒に居てくれるって言うから、甘えさせてもらってる。
それに……今は、レビンにいて欲しい。私の思い付いた馬鹿な野望のために。
「おい、聞いてんのっがきゅっ!?」
「?!」
耳の痛い言葉に反論出来ないでいると、ゴンっという鈍い音と共に、ブレンの言葉がおかしな風に乱れた。
振り返ると、レビンが立っている。
串焼き3本持って、無表情でブレンを見ながら。
「え?」
「はい、ダメ終了。ブレン、じゃな」
「いってぇ、待てよ!レビン何でだよ!」
「ウチのアーシュは、ドくそ真面目なんだよ。何言ったか知らねえが言葉そのままに捉えて……ホラ、傷付いてるだろ?」
「ドくそ真面目って…」
「とにかくダメだ。終了」
そう言うとレビンは、串2本口に咥えると、1本ブレンネスの口に突っ込み私を抱える。
「え?」
「アーシュ口閉じてろ?じゃあな、ブレン!」
「へ?っきゃぁぁぁー!…―――ぐぅっ!」
レビンはいきなり走り出した。そして跳んで、また走り出す。
ちょいと乱暴な逃げ方じゃありませんか?
私の意識は暗転した。
「――シュ、アーシュ」
「う……ぅん……?」
「アーシュ、目覚めたか?」
「ん~?レビン?」
「体調はどうだ?すまん、ブレンを引き離すのに全力で走ったから」
「あ~、頭ぐらぐらする…」
「ほら、水飲め。串焼き食うか?俺の涎付いちまったけど」
「……………水だけちょうだい……」
レビンの話だと、かなり西の方まで来たようだ。
ブレンネスと姉弟のように楽しそうに話してると思ったら、私の表情がどんどん暗くなるため慌てて戻って来たと。
で、拳骨落とした。
「ブレンの言うことは気にするな?アレは、お前に会って舞い上がってたんだ」
「それは無い」
「いや本当」
「無いよ」
「本当だって。俺とアーシュを離して自分が護衛になろうとしてたんだからな?」
「嫌だよ」
「ははっ、俺と離れるのがそんなに嫌か~?」
「…………」
「すみません。そんな目で見ないで」
「確かに嫌われてたよ?」
「いや?住み処探しも空からのが探し易いからって着いてきたんだぞ?
悪い奴じゃ無いんだけど、どうも話すのが下手くそでなぁ。それでよく仲間とも喧嘩が耐えない」
あれで、舞い上がってたの?
心抉られる言葉しか投げてこなかったけど?
まぁ、いいか。もう会わないでしょう。
「もし本当にレビンの言う通りだったら、とても生き辛いわね」
「だろ?だが、偽善とか他にも色々言われても今まで軽く流してたのに、あんな顔して……何言われた」
確かにサラリと聞き流せる事ばっかりだったから、全く気にしてなかったけど、レビンと離れろ的な事を言われたら暗くなったんだわ……。
よく見てるなぁ、レビンは。
感心して、レビンを見ていると頭を撫でられる。
「悪かったな。ブレンは餓鬼だしお前も気にしてない様子だったから、居てもいいかと思ったんだが……戻ってぶん殴るか?」
「いや?いやいや、いいよ。ただ、レビンを私を狙う人達の争いに巻き込まないよう言われただけ。レビンが心配だったんだと思うよ?」
「あ?何だそりゃ」
「竜人の国みたいな事だってあるし、恨みある人が私を襲撃するかもしれない」
「……」
「レビンをそういう危険から遠ざけたいん」
頭の上にあったレビンの手が、頬に添えられもう片っぽも頬を包みレビンに顔を向けさせられる。
「アーシュ?」
「うん?」
「お前は、弱い」
「う、うん」
「お前を守るために俺がいるのに、離れて俺が安全な所にいてどうする?」
「でも、」
「でももくそもない。……あぁ、そっか。アーシュは俺が心配か。俺が傷付いたりするのが嫌なんだな?そっかそっか」
「う、」
「え?そうなのかっ?」
「だ、誰だって自分のせいで傷付いたりするのは嫌でしょ!」
「お前のせいなんか一つも無いぞ。それに言っただろ?俺は、お前を守る。ずっとついていく。お前を幸せにするって……見届けるって」
「ずっとって……レビンにも、こ、恋人とか」
「いないし、」
「す、好きな人とか、いつかお嫁さん出来たら」
「それは大丈夫だ」
「なにが大丈夫なのよう~」
「あー、ほらほら」
何故か感情が高ぶって、涙が出てくる。
ほんっとに、涙腺が緩みっぱなしだわ…。
溢れる涙をレビンが親指で拭き取る。
そして落とされる言葉の爆弾。
「だって俺が惚れてる奴、アーシュだもん」
…………パードゥン?
お話中のレビン。
(幸せにするって言っちゃった!あぁ、でも泣き顔がかわい…もう言っちゃえ!)
お読み頂きありがとうございます。




