勇者がいらんこと望むから・・・・
はい。
ちゃんと、元ネタの人に許可もらってますよ
作業中BGM ゲート アルヌス放送局
私の名前はダイス。勇者パーティーに所属する魔法使いだ。とはいっても、今となってはその肩書きももはや無用の長物か・・・。なぜなら今先ほど勇者タイクーンの聖剣で魔王アスベルトは貫かれて事切れたからだ。それはすなわち勇者という存在の役目が終わったことを意味する。
「さて、勇者。これからどうするの?」
そう言いながら、勇者に近づくのは女剣士であるカーミラ。彼女は故郷を魔王軍の軍勢に襲われてすべてを一度に失った少女である。彼女が私たちのパーティーに入ったとき彼女はすでに人格が崩壊寸前だった。彼女は私たちが初めて倒した魔王軍に所属する将軍を倒したときにオークたちの砦から救出したのだが、それまでの間に様々なひどい目に合っていたらしく、救出してからしばらくの間はまともに言葉も話せず目の焦点もあっていなかった。
・・・・・・・幸い救出してから数日後に聖職者レイリーがメンタルヒールを覚えて彼女にかけたことでどうにか正常なところまでは持っていくことができたのだが、その代わりに彼女は勇者に完全に依存してしまうことになってしまい、結局ここまで旅を共にすることになった。
そして先ほど話に出た聖職者だが・・・・・・・・彼女は魔王が完全復活を果たすためのいけにえとして我々の目の前で殺されてしまったのでもうこの世にはいない・・・・・・・・・・・・・・はずだったがなぜか魔王を倒した瞬間に蘇った。どうやら勇者の聖剣が何らかの魔法を行使したのだろう。そうでもなければ死者が蘇るなんてことはありえないのだから。あ、そうそうちなみにこの聖職者・・・女性だ。
すなわち、私たち4人の勇者パーティーは勇者、魔法使い、剣士、聖職者の男と女が2人ずつのバランスのいいパーティーである。
「そうだね。このままお城に帰っても何かありそうだし、ここできちんと魔王を焼却しようか。」
私が色々回想していると、勇者がさっきまで悩んでいたのに急にそう言いだした。そういえばこの勇者なぜか死体の処理は焼却で通そうとする傾向がある。そうなると必然的に私に負担がかかるわけで・・・・・
「勇者。これまで我慢していたが私は死体を燃やすのに反対だ。人の死体を燃やすのも大変なのになんで魔族の死体まで燃やさなくてはならないのだ!私の負担を少しは考えてくれ!」
そう勇者と2人で大揉めしていると、レイリーが
「あの~、すみません。私の話を聞いてくれませんか~。」
と言い出したが、
「「なんだ!この大事な時に!」」「「グヌヌヌヌヌヌヌ!」」
「ひゃう!」
私たちがケンカしている途中で話しかけてきたせいでついひどい対応になってしまった。
「うぅぅぅぅぅ、どうせ私はいらない子なんですよ~。」
「泣かないのレイリー。あなたのおかげで助かった人もここにいるんだから。ね?だから私と一緒に気持ち良くなりましょう。」
「あぁぁん!」
そう言いながら泣き始めたレイリーをカーミラが慰めていた。・・・・・・・いろんな意味で
「カーミラ!お前は百合の道に人を引きずり込むなと何度言ったらわかる!ファイアーランス!」
「あら危ないわね!何すんのよ!」
「健全か否かの問題で介入させてもらったぞ!」
「こっち向けダイス!話はまだ終わっちゃいない!」
「黙れ勇者!今はそれどころではない!このままあれを放置するとこの世界(小説)が終わるぞ!いろんな意味で!」
何を隠そうこの剣士カーミラはレズである。隙あらばレイリーといちゃつき彼女を同類へと堕とそうとするのでこれまでの旅でも私のSAN値は減り続ける一方だった。
そんなこんなでもめ続けること数十分
「なぁ、この争い・・・・不毛すぎるからもう止めにしないか?」
「奇遇だな、勇者。私もそう思ったところだ。」
「ハァハァ。アァン!そこはダメェ!」
「「てめぇさっきやめろって言ったばかりだろうが!」」
俺と勇者は組合の末二人とも限界が来て倒れこみ、カーミラはなぜか一人で自分を慰めていた。そんで思いっきり突っ込んだ直後に気づいたのだが、レイリーがいない。
「なぁ、勇者。」
「なんだ?もうしゃべる気力すらあまり無いんだが?」
「レイリーがいない。どっかへ行く様子とか見てたか?」
「いや、知るわけないだろ。さっきまでお前と組み合ってたのに。」
「だよなぁ。じゃぁ、カーミラは・・・・・聞くだけ無駄だよな。」
「あぁ、あんなのに聞くだけ無駄だ。」
そういうと俺と勇者の二人は疲れ果てた体にムチ打ってレイリーを探し始めた。
「レイリー!どこだー!レイリー!」
俺と勇者は痴態をさらしている変態をほっといて魔王城の奥深くまで来ていた。
「あ!レイリー!ここに居たのか?心配s・・・・・」
「お前・・・・レイリーなのか・・・・・?」
そこには瞳の色が澄んだ蒼から金へと変わり、気配も全く別のものになっているレイリーが居た。
≪問おう、勇者よ。汝の手によって我を封印していた魔王は果てた。我はこの世界を管理する神。ディールズである。さて、汝は我に何を望む?≫
「なんだ?いきなり?何の冗談だ?」
「待て勇者!これは・・・・こいつは普通の存在じゃない!」
≪望みを言え。かなえられる範囲であれば我はその望みを現実にする力を持っている。≫
「だったら・・・・・・・俺を日本に帰してくれ!どうせ無理なのはわかってる!それでも可能だというのなら日本に帰してくれ!」
≪それがお前の望みか?≫
「あぁ、そしてレイリーを元に戻せ!」
≪その望みは我がここから立ち去った時に一緒にかなえられるであろうよ。それにしても異世界への移動を望むか勇者よ。何故だ?≫
「俺が・・・・・、いや僕が、転生者だからだ!米が食べたくて食べたくてもうこらえきれないんだ!」
そんな自称神と勇者の話をその場にいる第三者として聞いていた私の感想とすれば・・・・・、正直ドン引きしていた。
だって勇者の一人称が急に変わるし、転生者だなんて聞いたこともなかったぞ。それにそのニホーンとかに行きたい理由が何か食べ物を食べたいからなんて普通の奴ではありえないからだ。
「なぁ、勇者・・・・・。お前疲れてるんだよ。だから落ち着けって。な!」
「落ち着いてられるかっ!この機会を逃したらもうコメが食えなくなるかもしれないのなら俺は何にだってすがってやる!」
≪そうか・・・。ならば向こうの女神と交渉せねばならぬな・・・。少し待っておれ。≫
そう言ってその存在の気配は消えた。と同時にレイリーは崩れるように倒れた。
「大丈夫か!」「・・・・脈は安定している。大丈夫なようだな。」
「う、う~ん………。」
数分後目を覚ましたレイリーに話を聞いてみるとどうやらレイリーはあの存在に体を貸す条件で蘇生されたらしい。
「それはまた………」「思いきったことをしたなぁ……。」
俺たち二人はその事実にたいして唖然とするしか無かった。
「それでカーミラちゃんは?」
「あー」「まだあれやってんのかね?知らんけど。」
「あれって?」
「世の中にゃあ知らない方が良いこともあるってことさ。だからこの話は終わりな。」
そうやって暫く話していると急にレイリーが崩れ落ちた。そしてまたこちらを見たときその眼はまた金色に染まっていた。
「おっ?」
「帰ってきたようだな。さて、お前の望みは叶うのかね~?(まあ、どうせ叶わないだろうが……)」
《すまぬな、勇者よ。向こうの神にキノコのおすそわけを貰ってついゆっくりしてきてしまった。それで汝の望みだが、叶えられそうだ。》
「そうなのか!良かった~!これでコメが食える!!」「いや、なんで神様がキノコ喰ってんだよ!」
≪あ~、それでだのだが・・・・、お前は転生者ということを話したら、それだと「マイナスがプラスになるだけじゃな~い。ついでに他のも頂戴!」と言われてしまってな。我もさっきまで封印されてたのだからそんな責任押しつけられても・・・・、と思ったのだが、あ奴まったく聞く耳持たんかった。≫
「てことは僕の他にも何人か連れってってもらえるって認識でいいですか?」
≪すまぬがそういうことになるな。それで誰を連れて行くのか決めてもらえぬか?≫
「だったら僕のパーティーメンバー全員にしてくれ!彼らにも僕が生きていた日本を見せたいんだ!」
「おい、ちょっと待て勇者俺たちにそういうことは相談し・・・なんだこの魔方陣は!」
≪よかろう。ならば今すぐ送ってやろう。送還術式起動、それでは勇者たちよ。達者でな。≫
「ちょっと待てぇ!!!!!!!!」
そう言う俺の苦情を無視して神と名乗る存在は術式を起動。そしてその瞬間俺の意識は闇の中へ落ちた。
・・・・・・・・・・・ここは日本の国会。調子乗って使っちゃいけないお金を使いこんだり、それを隠して別の政党の人に追及されて逆ギレ起こしたりする人がいる場所でこの国の政治は回っています。
「それでは、競技場建設のための資金の不足分はどこから持ってくるつもりなのですか総理!」
ある若手議員が最近建設のためにかかる資金を計算したらどう考えても政府が用意できる限界を超えていたことに対する責任を声を荒げて閣僚たちに尋ねています。
すると、スッと言う擬音が似合うようなまさに挙手の見本を見せつけるかのように閣僚の中の一人が手をあげました。
「安藤君」
「はい。それでは説明させていただきますが、その前に昨日の夜に首相官邸に変な手紙を投げ込んだ議員がここにおられると思うので先にそれを解決してもらえませんか?」
挙手をして、壇上に立った首相がみんなの予想を裏切りこんなことをいきなり言いだしてしまいました。
「話をそらしてそのまま逃げる気か!」
「一国の代表がそんなのでいいのか!」
そりゃ野党騒然、他の閣僚ポカーン、与党は首相が狂ったと一部議員が狂喜乱舞しています。
「静粛に!安藤君、私はそんなことを君に言ってもらうために君の発言を許可したわけではないです。ただちに質問に答えなさい。」
あまりにも議会が紛糾してしまったのでついに議長が動いてしまいました。それなのに首相は
「いえいえ、私の気がふれたわけでも話をそらすために付いた嘘でもありません。実際に手紙が届き、その内容がテロを予告するかのような内容だったのでこの場で述べさせていただいた次第です。」
それを聞いた瞬間他の議員の皆さんは
「それではその手紙の現物は今ここにあるのか!」
「証拠もないのにそんなことを語るな!」
「静粛に!」
また大騒ぎしかけたところで議長に止められました。
「それではここにその手紙がありますので、議長に読んでもらいましょう。それでは議長、よろしくお願いします。」
「うむ。それでは読ませてもらおう。」
その手紙は、和紙に毛筆で書かれたものだとしか遠目からではわかりません。
そして、議長はその手紙を読み始めました。
“今日の昼ごろに衆議院の真ん中に異世界の人送るから対処よろぴく♪ アマテラス”
「「「「「「・・・・・・・・・・・・・はぁぁぁぁぁぁあぁぁ~~~~~~~~!」」」」」
全員驚愕です。てか、アマテラスと聞いてその名前が神様だということがわかる議員も少ないこのご時世。誰だよそれ!って感じの雰囲気を若手議員の大半は出していました。
「それでその手紙に指定してある時刻はただ“昼ごろ”としか書かれてません。なのでそろそろということになるのですが、この手紙の内容を鵜呑みにしていいものかわかりませんし、それにこの異世界の人というのは文字通りに受け取るべきなのかどうかも迷うところでしてね。なので皆さんに聞きたいのです。今ここにこの手紙を首相官邸に出した人がいるのならば今すぐ名乗り出t・・・」
「うぉ~~!!!!国会来たーーーーーーーーー!!!!!!!」
「「「「「「「「「「お前ら何だよ!!!!」」」」」」」」
首相が話している途中で急に聞こえた絶叫に与野党問わず全議員の心が一つになりました。
急に現れたのは、絶叫している黒髪の少年、首大丈夫か?と本気で心配になる体制で衆議院の議事堂の床に倒れこむ男性、杖を持ち、いかにも聖職者のような恰好をして倒れている女の子と刀の鞘を恥部に差し込んで気絶している女性の4人でした。
緊急事態発生とSPやア◯ソックが議事堂に駆け付けた瞬間、叫んでいた少年は周囲を見回して、良い笑顔でこう言いました。
「あ、どうも異世界から来た勇者です。元日本人で神様の導きで帰ってきました!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
閑話休題
「それで、話をまとめると、君は異世界の勇者で元日本人、そしてこちらで死んだのは数年前といったところか。」
「はい、そうですね。自分が死んだときの総理大臣は今のひとつ前だったので。」
「それでは、君がここ日本で生きていた時の名前を教えてくれないかい?そうすれば、証拠として使えると思うから。」
「わかりました。日本で生きていた時の名前は大村修二。享年は20歳。死んだ原因は乗っていた夜行バスが事故を起こして、心臓を貫かれたことによる失血死なので、調べやすいと思います。」
「そうか。それで君の仲間のことなのだが・・・・・、「あぁ、たぶん大丈夫ですよ。カーミラは、女の子さえ近づけなければきちんと受け答えできますし、レイリーはこちらに送られる際に彼女の体に宿った神様が、知識を植え付けるって言ってたから、ある程度は大丈夫です。ただ、自分でも心配なのがダイスなんですよね。あいつ魔法こそわが人生って言いきってましたし・・・・。」・・・・そう、そのダイス君のことなのだが、少し力を貸してもらえないだろうか?」
「え?」
そうして僕と刑事さんは取調室から他の仲間たちがいる留置場へと歩いて行った。
・・・・・・・そう、あの後僕らは逮捕されちゃったのである。恥ずかしいことだけどね。
「なぜ魔法学の権威である私がこんな牢屋に入れられなくてはならないんだ・・・・。そうだあれもこれも勇者がいらんこと望んだせいだ。私は悪くない!」
あの後、目が覚めたら私はりゅうちしょ?という牢屋に入れられていた。声を聴く限りレイリーもカーミラも近くに入れられているようだ。ただ、夜遅くまでカーミラの喘ぎ声が聞こえたときにさすがに頭にきたので魔法をカーミラがいるであろう位置に放とうと
「ファイアーランス!!」
と術式名を唱えたはずなのに魔法が出てくることはなかった。
後で、レイリーに話を聞いたところによると、この世界で魔法を使うことは不可能であり、魔族や魔王との戦闘そのものも存在しないということだった。
・・・・・・・・要するに私の存在価値は消滅してしまったのである・・・・・・orz.
結局カーミラが気絶するまでその喘ぎ声は続き、そして私は寝不足になった。
そうして、精神的肉体的に追い詰められた私のもとにあの勇者が来た。しかも良い笑顔で。
どうやら私があまりにも死にそうな感じを出しているが故に警察とやらも心配したらしい。
余計な御世話だと思ったが。あと少しでここから出れるそうだ。正直元の世界に帰りたいのだがそれはかないそうにない・・・・・。
私の苦悩の日々は続きそうだ・・・。
鎧武の二次作品作ってるけどやっぱ上げちゃだめなんやろうか………