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ただ一人、歌を紡ぐ  作者: 彼岸 沙華
第一楽章 正義と悪と、純粋なる狂気
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英雄

そこに恐怖は存在する。


最北の森。通称「終わりの森(エンド・フォレスト)」。

その森はまさに地獄。

その森へ一歩踏み込んだ者は生きて帰ってこれない。

どんなに最強であっても、強者であってもその森に行くのは死にゆくのと同等。


その森に存在するのは常識の通用しないものばかり。

終わりの森(エンド・フォレスト)に当たり前などない。


力を持たぬ人はもちろん、力ある魔物ですら瞬殺されるだろう。



「ここが、終わりの森(エンド・フォレスト)…」


そんな森に、踏み込んだ人間が一人。


赤髪に蒼い瞳の男だ。

男は白く輝く剣を片手に、ゆっくりと森の奥へと進んでいった。



英雄(堕ちた者)




終わりの森(エンド・フォレスト)にやってきた男の名をアクス・オウィリと言った。

知らぬものはいないだろう。


「光の英雄」

光の魔術を駆使し、悪の象徴魔王を一人で倒したことで有名。

世界で初めて、勇者以外の人間が魔王討伐を果たしたことでその名を轟かせた。

その者の名をアクス。

アクス・オウィリ。




「悪の堕落者」

勇者を陥れ、世界一の王国シルヴァスの国宝を盗んだ重罪人。

その後力を過信し、勇者に戦いを挑み無残に敗れたことで世界を驚かせた。


その者の名を、アクス。

光の英雄、アクス・オウィリという。



英雄であるアクスは重罪人として追放された。

終わりの森(エンド・フォレスト)への追放。


死を覚悟したアクスだったが予想に反して大した脅威はなかった。


「ここは本当に、終わりの森(エンド・フォレスト)なのか?」


思わず漏れた声。はっ、として辺りを見回すも何もおらず。

安堵のため息をついたアクスは、硬直することになる。


「うん、ここは終わりの森(エンド・フォレスト)で間違いないよ。」


そんな声が、聞こえてきたために。

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