家族
道路の真ん中に、少年はいた。
「───…あーあ」
やってしまったな。
そんな顔を浮かべながら少年は頬についた血を手で拭った。
「この様子だと、皆死んでるなぁ」
一歩踏み出す。
ぐしゃり、何かが潰れる音がした。
「ざまあみろ」
嘲笑まじりの言葉。
それを聞く者はおらず。
人を皆地にひれ伏すように死んでいた。
「ぼくを認めないからだよ。」
「ぼくは化け物じゃない。ぼくは人だ。」
ああ、こんなこと言っても皆死んでるか。
あくまで軽く、まるで冗談を言うように。
少年は残酷に告げる。
「良かった。」
空を仰ぎ、目を細める。
青い青い、雲ひとつない晴天の下で。
「終わる前に、復讐できた。」
そう呟いて、
「さよなら」
世界は終わった。
第一話
「家族」
お母さんは眠る様に死んでいた。
お父さんは苦しそうに死んでいた。
弟は丸まって死んでいた。
皆、みーんな死んでいた。
大人たちはそれを皆ぼくのせいにした。
おまえらなんか、死んじゃえばいいのに。
おまえらなんか、いらないのに。
本当にいらないのは、ぼくなんだって。
そんなの分かっていたよ。
△ ▼ △ ▼
「今回で四兆八千七十二億九千八百三十四万四千二百七十四回目、だね。」
白い空間で、声が響く。
「いつになったら君は終われるのかな。」
「まあ、」
「君は終われないよ。」
「それが、君の呪いだから。」
光が弾けた。




