転校生。
「はじめまして。宮下 都です。これからよろしくお願いします」
そう言って頭を下げたのは、今日やって来た転校生だった。どこから来たのか、どんな子なのか、まだ話したこたない私たちには予想することしかできないけれど、彼女がひどく美人だということは、彼女を視界にいれた時から明確なことだった。
「よし、じゃあ宮下の席は原田の隣だ」
原田というのは私のことで、つまり宮下さんは私の隣の席ということになる。普通は学級委員長の隣だとかに座らせるんだと思うんだけど、あいにく委員長は突然現れた転校生に対して、簡単に話しかけられるような人間じゃない。つまるところ、極度の人見知りだ。
「宮下さん、こっちだよー」
私の席は窓側の一番後ろの席。昨日まで何もなかった私の席の隣に新しい机と椅子が今朝現れていたのは、こういう事だったのかと一人で納得しながら宮下さんがわかりやすいように大きくてを振った。
「はじめまして、宮下 都です。ええと……」
「あぁ、私は原田 しのぶ。シノでいいよ。これからよろしくね」
簡単に自己紹介を済ませると、宮下さんは
「それならわたしもミヤでお願いします。シノさん」
……"さん"はいらないんだけどなぁ。まぁ、そんな事で気を使わせるのも悪いし、いいか。
とりあえず新しいクラスメイトもふえたことだし、これから楽しくなりそうだなぁ。そんな期待に私は胸を膨らませていた。
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