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第四話 英語

 お久しぶりです。というかこの小説を読んでくれてる人がいるのか心配ですが、今回もよろしくお願いします。

 「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…。」


 そんな風に息を切らしながらじんが教室に戻ってきた。


 彼はさっきの数学の時間に持ち前の中二病で黒板に変な模様を書きつけ、職員室に呼び出されて、教師に雑巾のごとくこってり絞られてきたのである。


 「お、おかえり、仁。どうだった?」


 「フッ…。あの程度の試練、オレの力を以ってすれば…。」


 「反省の色無しかよ。やれやれだな…。」


 教室に戻ってきた仁に俺は声をかけてみるが、奴には反省の色がまったくなかった。仁の辞書には「反省」という言葉がないのだろう。


   キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…。


 そこで授業開始のチャイムが鳴り響いた。


 「フッ。またな。」


 そう言いながら仁は自分の席に戻っていった。


 「よーし、授業始めるぞ~。」


 仁が席に戻ると同時に担当の教師が教室に入ってくる。今度の授業は英語である。


 「よし、今日はあえて基礎の基礎から復習させてもらうぞ。」


 そう言いながら教師が英文を黒板に書いた。


 『I am a boy.』


 はっきり言えば、高校生を舐めているのかというレベルの英文だ。こんな英文が訳せないとなるとそれはもう高校生ではないだろうといっても過言ではないだろう。


 だが、この英文を訳せない奴がいるのだ。そう、奴だ。


 「よし、塚原つかはら、この英文を訳してみろ。」


 「フッ。いいだろう。」


 教師に指名されたのは仁だ。ちなみに仁が教師に対してこの態度でもほとんどの教師は何も言わない。なぜなら彼が中二病だからだ。彼の言動にいちいち突っ込んでいたら教師の方々も恐らく胃に穴が開いてしまうことだろう。


 「答えは…。」


 そう言いながら仁が黒板の英文を見る。さて、今日はどんな答えが出ることやら…。


 「私はボーイです。これだ!」


 「違う、そうじゃない。」


 「なぜですか!」


 仁が声を荒げる。


 うん、惜しい。いや惜しいって言うかなんで『boy』がピンポイントで訳せないんだこいつは。むしろその理由を問いただしたい。


 「正解は『私は男子です。』だ。この単語は男子って訳すんだ。よく覚えておけよ。」


 そう言いながら教師は『boy』の部分に線を引いて仁に示した。


 「よし、じゃあ授業を進めていこう。今日は教科書17ページからな~。」


 そして、今までのやり取りがなかったように教師がいつも通りの授業を始めていく。


 英語の時間は俺にとっては大して苦痛でもないのでなんなくやり過ごすことができた。


 キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…。


 そして、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。


 「よし、今日はここまで。各自予習復習を大事にすること!」


 そう言いながら教師はチャイムがなり終わると同時に教室を出て行った。


 「おい、そう、最初の先生の質問だが…。」


 「ええ~。ちゃんと教えてもらえたろ?まだ何かあるのかよ。」


 教師が教室を出て行くと、仁が俺の席に来てそう聞いてきた。


 「仁~、蒼を困らせちゃだめだよ。ちゃんと解説してもらえてたでしょ。」


 俺の言葉に同意するように、仁のあとから俺の席に来た龍矢りゅうやが続けた。


 「クッ、組織の陰謀だというのか!」


 「「違うから。」」


 なんでこいつは自分に都合の悪いことがあるとなんでも組織とやらのせいにしたがるんだ。


 二人で仁の言葉を否定しつつ、俺たちは次の授業まで他愛のない会話を続けるのだった。

 


 

最後まで読んでいただきありがとうございました。次回があればよろしくお願いします。

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