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第二話 野球

 今回もよろしくお願いします。

 「おーし、今日の体育は野球だぞー!」


 体育の教師がそう叫ぶと、俺を含めた男子が歓喜した。


 「よし、まずは俺だな。」


 そう言いながら俺はバッターボックスに立った。ちなみに俺は正直運動が苦手だ。もう一度言う、苦手だ。



 「ふんっ!」


 ピッチャーが投げたボールに向かって俺はバットを振るった。


             カキーン!


 俺にしては珍しく、ボールがいい感じの音を立てて吹き飛ぶ。


 「おっしゃあ!走れー!」


 俺を見ていた男子たちから声が上がる。


 「おしっ!任せろっ!」


 俺はそう返しつつ、走る。とにかく走る。


 そして俺は男子たちが唖然とした顔でこっちを見ていることに気づいた。


 そう、俺は気づいた。



           俺、逆走してたわ…。


 「次は僕か~…。」


 そう言いながら、今度は龍矢がバッターボックスに立つ。龍矢は俺と違って、運動は平均的にできる子である。


 「よっと…。」


 そう声を上げながら、龍矢がバットを振るとボールは上手く飛んで行き、龍矢は二塁まで進んだ。


 うん、普通だった。


 「ハッ!ついにオレの番だな!」


 そう言いながら、仁がバッターボックスに立つ。


 そして、あまり言いたくはないのだが…


              カキーン!


 音を立ててボールが飛んでいく。


 「うおおおおお!」


 そして、仁は塁を一周して来た。


 まさにホームラン…こいつはなぜか体育になると強いのだ。


 「フッ…オレの実力なら、この程度は当然だ。」


 「はいはい、それより蒼、次の授業なんだったっけ?」


 仁をスルーして、龍矢が俺に聞いてくる。


 「あ~…次は数学だったかな…。」


 俺がそう言うと、仁の顔が青ざめた。


 「なん…だとっ…。」


 「ああ、仁は数学が苦手だっけ。」


 それを見てここぞとばかりに龍矢がそう言った。


 「フッ…甘いな。このオレに苦手な教科などあるはずもないだろう…。」


 「ふ~ん?この前数学の公式に『組織の魔術式だ!』とか叫んで教室を飛び出そうとして、教師に殴られたのは何処のどいつだっけ?」


 「知らんな。お前は幻覚を見ていたんじゃないのか?」


 「こいつ…。」


 殴ってやろうか…と言おうとした瞬間に龍矢が俺の袖を仁から離れるように引っ張る。


 俺はそれに逆らわなかったので、自然と仁から離れることになるわけだが…


             ドゴッ…!


 鈍い音がして、仁が倒れた。


 「ボールが飛んできてたからさ。」


 龍矢が笑顔で俺に告げてくる。


 俺は龍矢に向けてこぶしを突き出し、親指を突き立てた。


 龍矢も同じようにこぶしを突き出し、親指を突き立てる。


 そして、今日の体育で学んだことが一つある。


 龍矢を敵に回してはいけない。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。次回も読んでくれると嬉しいです。

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