プロローグ
昔から人は『神』を崇めてきた。
国が違くても、育ちが違くても、
人は多かれ少なかれ『神』と言う得体の知らないものを信じてきた。
だが、みんながみんな全部を信じてるわけではなく、ただ何となく願ってみたり崇めてみたり、
宗教に属す人はまた違う感性なのだろうが、初詣も合格祈願も本当に叶うとは思っていないのだろう、
けど、人は『願う』そして『信じる』
自分の私利私欲のために.....
そう、だからこうして俺が神頼みをしていても何も変じゃない... だから...
「お願いです神様!マジで次のテスト赤点だと追試なんで、どうか良い点数がとれますように!」
俺が精一杯、土下座して頼み込んでも何の変じゃない
俺、神崎祐時は近所の神社で地面にめり込むんじゃないかってほど、頭を地面に擦り付けていた。
「ゆうじーもう帰ろうよー。そんなことしたって無駄だよ、もうテスト終わったんだから」
「夏織は黙ってろ!これで俺の夏休みの過ごし方は変わるんだ!」
俺は横に立っていた幼馴染みの槍山夏織に言った。
夏織とは家が隣で家族ぐるみで仲がいい、そして俺も腐れ縁でこいつと同じ高校に入ったんだが、
まずい...テストの前日だというのに遊び呆けて、受けたテストだったが俺が甘かった。
どうしよう、このままじゃ俺の夏休みが.....。
「そんなことするぐらいなら、もっと勉強すれば良かったのに... 」
「それはそうだが...お、俺だっていろいろ忙しかったんだよ!」
「何が忙しいよ。陸上部もすぐにやめちゃって、どうせゲームセンターにでも行ってたんでしょ!」
「ぐっ!お前には関係ないだろ!」
何故わかるんだ?さすが幼馴染み俺の行動はバレバレか。
「関係ないならこんなところまで付き合わせないでよ!」
「うっ!」
痛いところばかり突いてきやがって!
「あぁぁ!!もういい!帰る!」
俺は唸るように立ち上がり、階段の方に足を進めた。
この神社は山の上にあり登って来るのにも、一苦労だった。
だか、この辺では一番大きな神社で頼み込むならここしかなかった。
だが、やはり無駄か..... しょうがない夏休みの追試に向けて睡眠を貯金しておこう。
「ちょっと待ってよ!祐時!」
「待たない、俺は帰って寝るんだ」
「またそんなこと言って!もう知らない!私、先に帰る!」
夏織はついに怒ってしまったらしく、俺の横を走ってぬいていく。
「おい、そんなに走ったら危ないぞ!」
ガタッ
「キャッ!?」
「おい!!」
俺は夢中で走り出した。
夏織は走った勢いで階段を踏み外しゆっくりと落ちていったのだ。
まるで時が俺を嘲笑うかのように夏織はゆっくり落ちていく。
体が重い、まるで自分の体ではないようだ。
俺は必死に手を伸ばした。
そして俺は夏織の手を掴んだ。
俺は全力でその手を引っ張り、夏織を自分の方へ引き寄せる。
良かった。何とか助かっ.....
ガタッ
しくった。
夏織を助けるのに必死で自分の体勢を考えてたなかった。
俺は宙に投げ出されゆっくりと落ちていった。
-------------------------------
「う、うぅ....」
目を開けると俺は地べたで寝ていた。
そうだ俺は夏織を助けて階段から堕ちたんだ。
だが、そこは俺の知らないところだった。
「ここはどこだ?」
可笑しい、あんなに高いところから堕ちたのに怪我ひとつしていない、
どういうことだ?
俺は周りを見渡した。
そこは世紀末のような壊れた自分の街があった。
「なんだよこれ..... 」
わけがわからない。
何で街がこんなことに.....
俺が気絶しているうちに何があったんだ.....
夏織は両親はどうなった?
こんなんで人はまだ生きているのか?
「やっと起きたわね」
俺は突然の声に振り返った。
そこには俺と同い年ぐらいの黒い髪のセーラー服を着た女の子が立っていた。
良かった。まだ人がいたんだ。
「あ、あの、すみません!槍山夏織って子、知ってますか!?」
俺は必死になって聞いた。
その子は何も言わず首を横に降った。
「じゃあ、何処か人が集まっているところは!?」
「この世界には私達、代表生と貴方しかいない」
「代表生?何を言ってるんだ?」
そんなふざけてる場合じゃない!
早く夏織たちを探さなきゃ!
けど、彼女は何もふざけてないかのように真顔でこう言った。
「貴方はこれから私と一緒に戦ってもらう.......... 世界を救うために.....」