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ダチが女になりまして。  作者: あけちともあき
一年目、十二月
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初詣準備!着物を探さなきゃⅡ

 初詣は振り袖で決めたいよねっという話になって、女子達は街に繰り出した。

 九月も学園祭で使う着物を選びに行ったのだが、今回は頭数が多い。

 勇太、夏芽、楓、小鞠、晴乃、利理と六人もいるのである。


 成人式もまだの身としては、着物なんて持っているはずも無く(勇太は律子さんのお下がりを持っているのだが)、今回もレンタルと相成る訳である。

 さる事情から、郁己は同行していない。


「夏芽ちゃん、俺考えたんだけど」

「うんうん、何かな」

「やっぱり、あのキスは恐ろしいものだと思うんだよ。封印するよ」

「あー、あれねー。ファーストキスでディープキスはやばいよねえ」

「勇、ちゃん、大胆、だった、ね」

「楓ちゃん言わないでえ」


 女子達がキャッキャと騒いで道を行く。

 話の肴は、この間の勇のキスである。

 利理なんかは、その場に居合わせられなかったことを本当に地団駄踏んで悔しがっていた。


「写メ! ね!? 誰か写メくら撮ってるでしょぉ!? わたしもーみーたーかったあー!」

「恐ろしいものだったわ」

「うん、あれ夢に見たもの……」


 小鞠と晴乃の顔色もあまり優れない。


「ううう、ごめんね二人共ー。あの後、郁己とも気まずくってさあ……」


 そりゃそうだろうなあ、と女子達は思う。

 初めてのキスだったら、もっと雰囲気がある所で、優しい感じでしてみたいものだ。


「私的にはぁ、ドロッドロの濃厚なキッスでもいいんだけどぉ」


 例外が一人いた。

 というか、利理こう見えて、初キスはまだらしい。

 意外と言えば以外なのだが、彼女が単純に耳年増であったことが判明した瞬間なのであった。


「い、いいじゃないぃ。ネットで仕入れた知識だってぇ、結構真実があるかもだしぃ」

「あんた、そうやってムキになってるとちょっと可愛いわね」


 利理が小鞠にいじられている。

 珍しい光景もあるものだ。


「へえ、利理ちゃんはまだ恋を知らないのかしら!」


 ここぞとばかりに勇太が絡んで、


「ちっ、ちがわい!」


 必死に否定する利理がいて、話題は勇太の衝撃的なキスからずれつつも、とりあえず楽しくレンタルショップへと到着したのであった。



 さて、着物のチョイスである。


「やっぱりこのシーズンになると、レンタルで振り袖はよく出るんですよね」


 この間の店員さんがそう言った。

 そのために、お店の方でも倉庫から着物を出してきて、色々取り揃えてあるそうだ。

 利理が小鞠に子供用を着せようとして、あの二人はまたバタバタと騒いでいたようだが、概ねみんな、好みの着物が決まったようだ。


 見せたい人がいる子は、どんな柄かは秘密にして、来るべき日を待つことになる。


「こういうのって、どうやってレンタルするんですか?」


 夏芽の質問はもっともである。

 高そうな素材を使った着物だから、前々に借りて家で保管するのは怖すぎる気がする。


「基本的にはインターネットでのやり取りが多いですよ。料金を振り込んでいただいてから、使用二日前に到着するようにこちらから手配します」

「でも、汚しちゃったりするかもしれないですし」

「それは、前回のレンタルの時もご利用頂きましたが、着物保険パックがありますので」


 何やら細かく夏芽が尋ねている。

 彼女のサイズに合う着物というのが少ないだろうし、そもそも着る機会があまりないから、色々不安だったり、ちょっと浮かれていたりするのかもしれない。

 まだまだ恋よりもバレーという彼女ではあるが、立派に女の子なのだ。


 とりあえず、今日は手配してもらい、明後日には自宅に届くことになる。

 選んだ分の着物のレンタル料と、保険パック分の千円を支払って、レンタル屋を後にすることにした。


「……で、勇は結局どうするつもりなの? お隣なんだし、気まずいままって訳にも行かないでしょ」


 帰りに立ち寄った喫茶店で、小鞠が向かい合う勇太に告げる。


「うう、そりゃそうだけどさ」

「あたし達に宣言したことが答えじゃない。まだ早いって思うなら、そっちのキスはしばらく無しって伝えればいいと思うわよ。一足飛びにやったら、痛い目見るのは二人共でしょ」


 恋の痛みを知る彼女の言葉は重い。

 勇太は粛々と小鞠の諫言を受け取ることにした。


「大体、あんた達のこれからって、まだまだこんなもんじゃないんだから」


 キスから先に続く色々を言外に示唆され、勇太はうっと言葉に詰まった。

 心葉と同じことを言われている。

 自分はやっぱり甘いのかもしれない、なんて考えてしまうのだ。


「勇、ちゃん。みんな、自分のペースとか、ある、から。焦らないで行こう、ね?」


 楓の言葉が優しい。

 ふらふらっと甘えてしまいたくなる。

 いや、これはもう、甘えてしまっていいんじゃないかな。そうだ、きっとそうだ。


「小鞠、ちゃん。あんまり、追い詰めたらだめ、だよ。勇ちゃん、思いつき、で、動いてたりする、し、たくさん言われると、辛くなっちゃうから」


 勇太の頭を抱いて撫でる楓。


「まあねえ……」


 小鞠はバツが悪そうに頬を掻いた。


「どうしても駄目だったら、あたしが坂下にガツンと言ってやるから、呼びなさい」


 口は悪いが、面倒見がいい子なのである。

 すると、楓が今までに見たことがないような、キリッとした顔をして、


「うん、私、がなんとかする。任せて」


 みんなに宣言したのである。


「楓ちゃん……!?」

「知って、る? 恋愛って、二人、きりでやるんじゃ、ないんだから。私だって、お返し、したいんだよ」


 最強の味方が、坂下邸へ乗り込もうとしている。

 十二月二十七日。初詣まであと四日間で、勇太と郁己の仲を修復できるのか。

楓ちゃん頑張ります。今夜更新で快刀乱麻に解決!    よてい

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