翡翠の地
「ついに着いたぞ! ここが翡翠の地!」
小舟から飛び降りて思わず叫んだ。
翡翠を手に入れるためにあの大海峡を越え、ようやくたどり着いた。何度も沈みかけたし、もう終わりだと何回思ったことだろう。
だけどその苦労も報われる。
俺は目的を達成したのだ。
親父や母、兄弟たちの悔しそうな顔が目に浮かぶ。
『大海峡は越えられない』だの『生きて帰れない』だの。噂を本気で信じて妨害してきやがって。見てみろ、俺の言うことが正しかったんだ。
あんな田舎の地で一生暮らしてても貧しいまま終わりだ。
勤勉なんてクソくらえ。翡翠を大量に持って帰ればすぐに大金持ちだ。
遠くを見ると城壁が見える。あそこに街があるんだろう。
街には翡翠がジャラジャラとある筈だ。
そこで沢山翡翠を手に入れれば、ふはは。
笑みがこぼれるのが止められない。
だけどそれでいい。だって俺はもう大富豪なのだから!
そして城壁の傍に行く。
門は開いていて、門番の兵士たちがいた。
門を行き来する一般人っぽい人たちもいて、どうも普通に通れそうだった。
俺はそのまま通過しようとする。
「おい、待て」
「え?」
「見ない顔だな。どこから来た?」
「え、えっと海の向こうから」
「海の向こう? 大海峡を越えてきたって? ……怪しい奴だな。おい、捕まえろ」
「え? ちょっと」
「中で話を聞かせてもらうぞ」
必死に抵抗するが、俺は兵士たちに囲まれ、捕まった。
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