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翡翠の地

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/06/25

「ついに着いたぞ! ここが翡翠の地!」

 

 小舟から飛び降りて思わず叫んだ。

 

 翡翠を手に入れるためにあの大海峡を越え、ようやくたどり着いた。何度も沈みかけたし、もう終わりだと何回思ったことだろう。

 

 だけどその苦労も報われる。

 

 俺は目的を達成したのだ。

 

 親父や母、兄弟たちの悔しそうな顔が目に浮かぶ。

 

 『大海峡は越えられない』だの『生きて帰れない』だの。噂を本気で信じて妨害してきやがって。見てみろ、俺の言うことが正しかったんだ。

 

 あんな田舎の地で一生暮らしてても貧しいまま終わりだ。

 

 勤勉なんてクソくらえ。翡翠を大量に持って帰ればすぐに大金持ちだ。

 

 遠くを見ると城壁が見える。あそこに街があるんだろう。

 

 街には翡翠がジャラジャラとある筈だ。

 

 そこで沢山翡翠を手に入れれば、ふはは。

 

 笑みがこぼれるのが止められない。

 

 だけどそれでいい。だって俺はもう大富豪なのだから!

 

 そして城壁の傍に行く。

 

 門は開いていて、門番の兵士たちがいた。

 

 門を行き来する一般人っぽい人たちもいて、どうも普通に通れそうだった。

 

 俺はそのまま通過しようとする。

 

「おい、待て」

 

「え?」

 

「見ない顔だな。どこから来た?」

 

「え、えっと海の向こうから」

 

「海の向こう? 大海峡を越えてきたって? ……怪しい奴だな。おい、捕まえろ」

 

「え? ちょっと」

 

「中で話を聞かせてもらうぞ」

 

 必死に抵抗するが、俺は兵士たちに囲まれ、捕まった。

 




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