表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物喰いの境界線Ⅱ ~卒業した俺と五人の愛しき乙女たち。世界最速の移動拠点(テツクズ号)で巡る、未知の食材と神殺しの美食旅~  作者: ヒデまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/29

最終回:『境界線のその先へ、愛と解体のフルコース』

王都の復興記念式典が終わり、街が紫色の黄昏に包まれる頃。

 王宮の最上階、地上数百メートルに位置する「星見のバルコニー」で、シュウは一人の女性を待っていた。

「……お待たせいたしましたわ、シュウ。……ふふ、今日は『王女』としてではなく、ただの『貴方の隣にいたい女』として来ましたの」

 扉を開けて現れたフィオナは、これまでの重厚なドレスを脱ぎ捨て、シュウとの旅で着ていたあの冒険者装束を、白く清らかなシルクで仕立て直した特注のドレスを纏っていた。

 彼女が歩くたび、周囲の重力が優しくひずみ、まるで世界が彼女を祝福するように揺れる。虹色の魔力を宿した瞳には、もはや「独占欲」という名の毒はなく、深い信頼と慈愛が満ちていた。

「……フィオナ。……最後は、お前との約束だ。……世界で一番『重い』、特製のディナーだ」

「……ええ。……覚悟していますわ。……貴方の包丁で、私の心ごと、美味しく解体してくださるのでしょう?」

 シュウが用意したのは、テツクズ号のキッチンで数日間かけて仕込んだ、旅の集大成となるフルコース。

 獣人国の滋養、エルフの精霊の香り、ドワーフの火の力、そして神の心臓から得た「愛憎のシロップ」。

「……メインディッシュだ。……『境界を越えた恋人のステーキ・真実の愛のソース添え』」

 差し出された一皿。それは、不味いものを斬り続けてきたシュウが、初めて「自分のために」作った、最高に甘くて熱い一品だった。

「……っ!! ……ああ、……なんて……なんて重厚な味……! ……口の中で、私の魂が貴方に吸い込まれていくようですわ……!」

 一口食べたフィオナの頬を、大粒の涙が伝い落ちる。

 かつて、愛を重荷だと感じていた彼女は、今、その重みこそが「生きている証」であることを、シュウの料理を通じて理解した。

「……シュウ。……私、決めたわ。……王位も、義務も、全部貴方と一緒に背負う。……貴方が包丁を振るうなら、私はその重力を支える。……地獄の果てまで、貴方の隣が、私の『境界線』よ」

 フィオナがシュウの首に腕を回し、その顔を近づける。

 二人の距離が、ついに「0」になる。

 重力さえも消え去ったような、永遠に続くかのような長い口づけ。

 その時、夜空にはミーニャの影が、エレインの精霊の光が、そしてリィネの因果の煌めきが、祝福の花火となって打ち上がった。

「……ガハハ! 野郎ども、門出だ! ……テツクズ・マークII、新婚旅行モード・フルスロットル!!」

 眼下の広場で、ガストンが豪快にエンジンを吹かす。

 シュウはフィオナを抱き寄せ、静かに微笑んだ。

「……よし。……下ごしらえは終わった。……さあ、次の『美味い世界』を探しに行こうぜ」

 白銀の翼を広げたテツクズ号が、満天の星空へと向けて飛び立つ。

 境界の調理師と、彼を愛した四人のヒロイン。

 彼らの旅は、これからも「最高の味」を求めて続いていく。

――『魔物喰いの境界線Ⅱ』 完

【グランドフィナーレ・ステータス】

メニュー:永遠の誓い「愛のフルコース」

獲得効果:【真の幸福】(パーティ全員が永遠に結ばれる)


名前:シュウ & フィオナ & ミーニャ & リィネ & エレイン & ガストン

現在の場所:世界の向こう側、新しい旅の空

状態:完食(ごちそうさまでした!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ