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魔物喰いの境界線Ⅱ ~卒業した俺と五人の愛しき乙女たち。世界最速の移動拠点(テツクズ号)で巡る、未知の食材と神殺しの美食旅~  作者: ヒデまる


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第19話:『因果の先の、たった一つの答え(リィネ・デート編)』

ミーニャとの穏やかな午後の翌日。王都の最高級ホテル『グラン・ロイヤル』の最上階テラスで、シュウは少しだけ落ち着かない様子でティーカップを手にしていた。

 そこへ、教会の聖女としての正装を脱ぎ捨て、透け感のある白いシフォンドレスを纏ったリィネが現れた。

「……お待たせいたしましたわ、シュウ様。……ふふ、千里眼を使わなくても、貴方が三分前からそわそわしていたのは『視えて』いましたわよ」

 虹色に輝く瞳をいたずらっぽく細め、リィネがシュウの対面に座る。風に揺れる金色の髪が、午後の陽光を反射して神々しい。

 だが、その手元は心なしか震えており、膝の上のハンカチを何度も握りしめていた。

「……リィネ。……今日は、世界の危機も、因果の綻びも、何にも視なくていいぞ」

「……ええ。……そうしたいのは山々なのですが。……シュウ様と向き合うと、私の『未来視』が真っ白になってしまうのですわ。……まるで、美味しい料理を前にした子供のように」

 二人は王都の活気ある中央広場へと繰り出した。

 リィネは、露店の並ぶ通りを楽しそうに歩く。かつては「汚れ」を避けてきた彼女が、今では人々の笑顔や、香ばしい屋台の匂いの中に、自ら飛び込んでいく。

「……シュウ様。……私、ずっと怖かったですわ。……自分の視る未来が、すべて泥に消えてしまうことが。……でも、貴方がその不味い未来を『解体』して、新しい味に変えてくださった」

 リィネが立ち止まり、シュウを見上げる。その瞳には、もはや世界の因果ではなく、ただ一人の男の姿だけが映っていた。

「……だから。……これからの私の未来は、貴方の隣で、貴方の作る料理の味だけで満たしたいのですわ」

 シュウは黙って、用意していた小さな小箱を差し出した。

 中に入っているのは、神の脳髄から得た『真理の金粉』を練り込んだ、宝石のように輝く『因果のクリスタル・マカロン』。

「……リィネ。……お前の視る未来が、いつもこの味みたいに甘いものであるように。……俺が、ずっと仕込みを続けてやるよ」

 リィネがマカロンを一口、大切そうに食む。

 その瞬間、彼女の虹色の瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちた。

「……っ!! ……ああ、なんて……なんて暴力的なまでの『幸福』ですの。……私の千里眼でも、この味の奥にある『愛』までは、読み切れませんでしたわ……!」

 リィネがシュウの腕に、そっと自分の腕を絡める。

 すべてを見通す聖女は、今、たった一つの「予測できない幸せ」を噛み締めていた。


【今回のデート・リザルト】

デート相手:リィネ

獲得アイテム:【運命のロザリオ】(リィネの千里眼と感覚を共有可能)

リィネの状態:【感涙】(因果の先にある「結婚」のビジョンを確信)

シュウの感想:……聖女様を泣かせるのは、魔物を解体するより骨が折れるな。


「……さて。……明日は、あのパタパタ耳のエルフさんが、朝からテツクズ号の周りを五周も走り回って待っていますわよ」

 リィネがクスクスと笑いながら、予知した「騒がしい明日」を告げた。

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