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魔物喰いの境界線Ⅱ ~卒業した俺と五人の愛しき乙女たち。世界最速の移動拠点(テツクズ号)で巡る、未知の食材と神殺しの美食旅~  作者: ヒデまる


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第17話:『終焉の王、最後の晩餐と境界の向こう側』

『原初の心臓』の奥底、全ての因果が収束し、静止した「無」の空間。

 そこには、王座も豪華な装飾もなく、ただ一人の少年が膝を抱えて座っていた。

 銀色の髪、虚無を宿した瞳。それはシュウに酷似した姿を持つ、この世界の意志そのもの――『終焉の王・オメガ』だった。


「……ようやく来たか。……不純物シュウ。……私は、この不味い世界を飲み干し、すべてを無に還すために生まれた。……お前たちの足掻きも、愛も、すべては『消化』されるのを待つだけの毒に過ぎない」

 オメガが立ち上がると、その背後から「深淵の泥」が津波となって溢れ出し、これまでシュウたちが浄化したはずの因果さえも黒く塗り潰していく。

 それは、世界を滅ぼすための「究極の空腹」。

「……ガハハ! 最後まで愛想のねえガキだ! ……シュウ、こいつを黙らせるメニューは決まってるな!」

 ガストンが叫び、テツクズ号の全エネルギーを包丁へと転送する。

「……ん。……影で、神の絶望を縛る」

「精霊たちも、最後の一曲を歌いたがっているわ!」

「リィネ、未来の『最高の味』を視せて!」

「視えましたわ! ……一秒後、神が口を開くその瞬間……そこが、世界の『境界』ですわ!」

 仲間たちの祈りと魔力が、シュウの『神殺しの黒包丁』に集束し、七色の光を放つ。

 シュウが、オメガへと真っ直ぐに歩み寄る。

「……オメガ。……お前が空腹なのは、世界が不味いからじゃない。……一人で食べて、味を知る者がいないからだ」

 オメガが放つ「無」の一撃。それは触れるものすべてを存在ごと消滅させる。

 だが、シュウはそれを避けなかった。包丁の刃で、その消滅の力を「隠し味」として絡め取り、自らの魔力で『究極の晩餐』へと変換していく。


 【境界解体:新世界へのフルコース】。

 シュウの一閃が、オメガの胸を貫いた。

 殺すためではない。シュウの包丁は、オメガの中にあった「泥(絶望)」をすべて掻き出し、代わりにこれまで旅で得た「絆」と「美味しさ」の記憶を叩き込んだ。

「……っ!! ……何だ、これは……。……甘くて、苦くて……胸が、熱い……」

 オメガの瞳から、初めて感情の光が漏れる。

 黒い泥は、色鮮やかな光の粒子へと変わり、崩壊していた世界のシステムが、新しい、温かな「生命の循環」へと書き換えられていく。

 静寂が戻った。

 オメガの姿は消え、そこにはただ、新しく生まれ変わった世界の輝きだけが広がっていた。

 シュウは、最後に残った「神の涙」を一粒、特製のクリスタル瓶に収めた。

「……名付けて『新世界の夜明け・奇跡のドレッシング』だ。……さあ、地上に帰るぞ。……みんなで、本当の祝宴を挙げるために」

【今回の最終決戦バフ・リザルト】

メニュー:終焉の王の「新世界フルコース」

獲得効果:【世界の再編】(泥に飲まれたすべてが元に戻る)、【真の平和】


名前:シュウ

称号:【世界を調理せし救世主】

状態:旅の目的、完遂。


パーティ状況:

テツクズ号:役目を終え、最高級の「キャンピングカー」へ。

世界:泥が完全に消滅し、青い空と緑の海が戻る。


「……シュウ。……大好きよ。……世界を救ってくれて、私を救ってくれて、ありがとう」

 フィオナが、シュウの腕の中で幸せそうに微笑む。

 テツクズ号は、夕焼けに染まる王都へと、ゆっくりと降下していく。

 こうして、世界を喰らおうとした「泥」との戦いは幕を閉じた。





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