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魔物喰いの境界線Ⅱ ~卒業した俺と五人の愛しき乙女たち。世界最速の移動拠点(テツクズ号)で巡る、未知の食材と神殺しの美食旅~  作者: ヒデまる


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第14話:『神の食道、逆流する世界の叫び』

『テツクズ・マークII・アブソリュート』の周囲を、形容しがたい圧力が襲う。

 そこは、上も下もない、ただ「吸収」と「分解」の意志だけが渦巻く、脈動する暗黒の回廊。壁面からは、神がこれまで飲み込んできた文明や人々の「断末魔」が、物理的な衝撃波となって叩きつけられていた。

「……うるさい。……耳を塞いでも、直接頭の中に響いてくる」

 エレインが耳を固く押さえ、膝をつく。彼女の鋭敏すぎる感性が、世界中の「悲鳴」を拾い上げてしまっていた。

「……負けないで。……私が、静寂しじまを作る」

 ミーニャが純白に反転した影の翼を広げ、車内を優しく包み込む。だが、食道の壁から伸びる泥の触手が、装甲を紙のように引き裂こうと迫っていた。

「ガハハ! 泣き言はあとだ! ……シュウ、この逆流、まともに進んじゃ日が暮れるぜ!」

 ガストンが操縦桿を限界まで倒す。機体は激しく震動し、雷雲龍のエンジンが悲鳴を上げていた。

「……リィネ。……こいつの『嚥下えんげ』のリズムを視ろ」

「視えましたわ……! 十二秒に一度、因果が収束する『飲み込み』の瞬間。……そこだけが、唯一の順風ですわ!」

 リィネの白銀の瞳が、暗黒の回廊を流れる魔力の奔流を射抜く。

「……よし。……フィオナ、その瞬間に重力を『反転』させろ。……俺たちが、こいつを逆流リバースさせてやる」

 シュウが、テツクズ号の先端に立った。

 前方の闇から、神の防衛本能が具現化した巨大な「舌」――『摂食のイーター・サーペント』が、シュウたちを絡め取ろうと迫る。

「……お前の『食べる作法』は、なってないな」

 シュウが『神殺しの黒包丁』を振り上げた。


 【概念調理:強制嘔吐リバース・フロウ】。

 シュウの一閃が、食道の空間そのものを「裏返し」に切り裂いた。

 フィオナが同時に放った反転重力と重なり、テツクズ号は猛烈な勢いで食道の奥へと――いや、神の「喉元」へと逆噴射するように加速する。

 迫りくる蛇の舌を、シュウは一瞬で百のパーツへと「解体」し、その断面から溢れ出す濃縮された魔力を、自身の包丁に纏わせた。

「……お前の叫び、全部『苦味』として抽出してやったぞ」

 食道を突き進む衝撃波が、神の肉壁を内側から焼き裂いていく。

 ついには、視界を埋め尽くす巨大な黄金の門――神の知性の中枢である『至高の脳髄エイドス』が、その姿を現した。

 突破の直後、激しい戦闘を終えた一行。

 シュウは、解体した『摂食の蛇』の核から抽出した、強烈な刺激を持つエキスを、特製のドリンクに混ぜた。

「……名付けて『覚醒の逆流リバースショット』だ。……これで、神の精神攻撃ノイズを焼き払え」

 一口飲んだエレインが、バッと目を見開いた。

「……っ!! ……辛い! ……でも、頭の中が、透き通るみたいに静か……! ……世界の声が、歌に聴こえる!」

 エレインの耳が、再び力強くパタパタと踊り出す。


【今回のキャンプ飯バフ・ステータス更新】

メニュー:摂食の蛇の「覚醒リバース・ショット」

獲得効果:【精神汚染無効】、【感覚の極限化】(1秒が1時間のように感じる)


名前:シュウ

状態:【因果の料理長】(世界の理を直接書き換える調理を開始)


パーティ状況:

エレイン:【聖歌の指揮者】へと進化。神のノイズを無効化する結界を展開。

テツクズ号:外装に「神の肉」の皮膜を纏い、神の攻撃を同質化して無効化。


「……よし。……いよいよメインディッシュだ。……神の脳味噌、どんな味がするか、楽しみだな」

 テツクズ号が、黄金の門をぶち破る。

 そこには、巨大な胎児のような姿をした、この世界の「システム」そのもの――真の主が、冷酷な光を放って待ち構えていた。

 いよいよ、物語は神殺しの最終決戦、その三連戦の最終章へ。




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