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魔物喰いの境界線Ⅱ ~卒業した俺と五人の愛しき乙女たち。世界最速の移動拠点(テツクズ号)で巡る、未知の食材と神殺しの美食旅~  作者: ヒデまる


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第1話:『卒業、そして鋼鉄の怪物(テツクズ号)との再会』

【前作までのあらすじ:境界の捕食者】

 神託のゴミスキル【魔物喰い】。魔物を喰らわなければ成長できず、人としての尊厳を捨てた獣だと蔑まれた少年シュウ。だが、その呪われた力は、実は喰らうほどに境界を越えて進化する唯一無二の捕食者だった。


 学園最深部で古の悪魔アスモデウスを「解体」し、世界を救ったシュウは、共に戦った四人の乙女たち、そして無二の親友ガストンと共に、ついに卒業の日を迎える。


 学園の講堂に、重厚な鐘の音が響き渡る。

 それは数千人の生徒たちにとっての終わりの合図であり、そして俺――シュウにとっては、本当の意味での「自由」の幕開けを告げる音だった。

 壇上に上がり、校長から羊皮紙の卒業証書を受け取る。

 かつての嘲笑は、今や畏怖と、隠しきれない期待の眼差しに変わっている。だが、俺の鼻を突いたのは、祝祭の華やかな香りではなかった。


(……嫌な匂いだ。泥のような、腐った魔力の……)

 アスモデウスを倒し、浄化されたはずの迷宮。その奥底から、微かな、だが決定的な「綻び」の匂いが漂っていた。客席で、リィネの狐耳がピクリと跳ね、フィオナの周囲で理由もなく小石が浮き上がったのを、俺は見逃さなかった。


 式典後、俺は喧騒を避けて地下へと向かった。

 向かう先は、学園の片隅、地下深くへと続く古びた階段。俺が最も多くの時間を過ごし、最も多くの「味」を学んだ場所――ガストンの鍛冶場だ。

「ガハハ! 待ってたぜ相棒! 卒業おめでとう、なんて湿っぽい挨拶は抜きだ!」

 地下に足を踏み入れた途端、爆風のような笑い声が鼓膜を震わせた。

 ドワーフの親友、ガストン。彼は巨大な槌を置き、その背後にある「怪物」を誇らしげに指し示した。

 鈍い銀光を放つ巨大な魔導装甲車――『テツクズ・マークII』。


 前作の『テツクズ号』をベースに、神鋼オリハルコンや龍鱗を贅沢に継ぎ足し、ガストンが心血を注いで打ち直した究極の移動拠点だ。


「……シュウ。……迷宮の底、見てきた。……黒い泥、溢れ始めてる」

 装甲車の影から、銀色の猫尻尾を不安げに揺らしながらミーニャが現れた。


「ええ。私の千里眼にも映りましたわ。獣人国、エルフの森、ドワーフの聖地……世界中の迷宮が、今まさに『真の主』を迎えようと脈動しています」

 リィネが豊かな狐尻尾を揺らし、詳細な地図を広げる。そこには、各地の迷宮から染み出す「泥」の予兆が、赤黒い斑点のように記されていた。


 アスモデウスは、単なる門番に過ぎなかったのだ。

 彼を喰らい、境界が消えたことで、世界はその深淵にある「真のシステム」に晒され始めている。放っておけば、世界中の食材は泥に汚れ、魔物は正気を失うだろう。


「……ふん! だったら、私たちが全部焼き払ってやるわよ! そのための、この車でしょう?」

 エレインが耳をパタパタさせながら、エンジンの出力を上げる。

「そうね。私たちが旅をするのは、ただの食道楽じゃない。世界の泥を掃除し、最高の食材を取り戻すためよ!」

 フィオナが黄金の髪をなびかせ、不敵に微笑んだ。王女の地位を捨てた彼女の瞳に、迷いはない。

 俺は、ガストンが「神の骨」を混ぜて打ち直した一振りの柄を握った。


 知性ある「人型」は決して喰らわず、だが世界を汚す「深淵の泥」に汚染された魔物たちは、俺がすべて解体し、浄化して喰らってやる。


「……よし。……行くぞ。……最初のターゲットは、泥の影響で狂暴化した『岩塩猪ソルト・ボア』だ」

 テツクズ・マークIIが地響きのような咆哮を上げた。


 この旅の目的は、美食の探求。そして、世界を蝕む「深淵」を喰らい尽くし、最高の晩餐を世界中に届けること。

「……最高の塩加減にしてやる」

 境界の先へ。

 俺と彼女たちの、美味しくて騒がしい伝説が、今、再び動き出した。


【今話のステータス更新】

名前:シュウ

職業:境界の調理師ボーダー・シェフ

レベル: 1(限界突破リセット)

スキル:【魔物喰い・極】【魂の解体】【万象晩餐(未覚醒)】


現在の目的:迷宮から溢れ出す「深淵の泥」の浄化と、美食の探求

パーティ:ミーニャ、リィネ、エレイン、フィオナ、ガストン

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