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卒業と言う名の婚約破棄を〜大好きな婚約者は恋に芽生えたようだ〜

作者: 月城光稀

別れたいと言えば角が立つから卒業という言葉を使った。


「婚約を卒業しましょう。私達は出会って10年。婚約という籠から巣立ち、新しいスタートを切るべきです」



この婚約は、10歳になる前に決まった。

親の言いつけを受け入れ、王太子殿下との交流、王太子妃としての教育が始まった。


幼い頃の殿下——アレン様はまるで女の子と見間違うほど愛らしくて、私は夢中になった。

勉強ばかりの生活は大変だったけれど、アレン様はいつも授業の後にお茶会を開いて労ってくれた。流行りのお菓子や珍しいお茶を用意して。


私達に亀裂ができたのは中等科に上がった頃。アレン様がよそよそしくなった。

親に相談すると思春期特有のものだから気にするなと言われた。

友人が言うには性の芽生えだと。


同じ頃、私はアレン様といると急にドギマギするようになった。顔が熱って赤くなる。

私も思春期かもしれない。

アレン様に恋している。


思うに性の芽生えは恋の芽生えではなかろうか。

アレン様は恋している。

相手は私ではない。恋はあんなに平静でいられない。


先日、令嬢と2人きりでいるところを目撃した。彼女こそ王太子妃殿下に相応しいと言われていたフローラ様だ。


私は身を引く決意をした。


「さようなら」


後ろは振り返らなかった。溢れる涙を見られたくなかったから。


家に帰り、父親に婚約破棄を告げた。事情を聞かれたが鬱陶しかったのでフッたことにした。殿下からの連絡は一切絶って欲しいとも。


数ヶ月後、王家主催の大きな舞踏会が開催された。

行きたくなかったけれど許されなかった。

エスコートの相手はもちろん殿下でない。

ちなみに性の芽生えと教えてくれた幼馴染だ。


殿下は隣国の王女様をエスコートしていた。

フローラ様ではないの??


ファーストダンスのとき、あろうことか王女様を差し置いて私の元に跪いた。

見たこともない不作法だ。


「マリア、お願い……」


切実に訴えながら、目は射るように鋭い。


衆目を集める中、フローラ様はこちらに見向きもしなかった。パートナーの男性に夢中で。

後から聞いた話だが、フローラ様から贈り物のアドバイスを受けていたらしい。10年前から。

ついでに言うと婚約は政略だと思っていたけれど、お茶会で一目惚れしたらしい。


卒業する必要はなかったのだ。

いや、婚約を卒業して結婚か。


私が手を差し出すと、アレン様は強く私を抱きしめ唇にキスをした。熱く。


「好きだ、マリア」


恋は激情。

アレン様は正しく私に恋してた。

間をおいてアレン様視点も書いてみようかと思ってます。

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