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マツバ

「殿下」と侍従が呼ぶ声がする


侍従は60近い男性で、うっすらとした緑の狩衣姿だ


昼時の宮は、みなが下がるざわめきに包まれている


ヒンヤリとした石造りの室内には、殿下と呼ばれた黒い狩衣姿の少年、マツバが片付けをしていた


その呼び方にいつの間にか慣れてしまったけれど、彼は自分たちはただの名無しだと思う


それぞれが好きな色から名前を作り出したのはいつのことだったろう? と、マツバは考えた


そして、自分を呼ぶ声をわざと無視して、窓の外を見やる


今日はそれぞれの妃が輿入れしてくる日だ


画一的に殿下と呼ばれるだけとは違う、名前のある女性たち


「殿下、お出迎えになりませんと…」と、再度侍従が声をかける


マツバは、今行くよと目線を彼に移して微笑みかけた


マツバは時折思う。今の自分は、きちんと殿下らしいのだろうか? と


そして今日送られてくる妃たちも、妃らしいのだろうか? 

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