話し合い
「結局、御子を狙うのは得があるものたちだ」と、ポツリとマツバは呟く
そしてそれに同意するように、彼らは頷いた
カヤが続けるように話し出す
その声はまだ少し高くて幼いが、しっかりとした意思が感じられた
「正直、私たちを廃する理由はないと思います。狙われるのはやはり継承順で、今なら2番目の御子さまのご生母や親族が真っ先に疑われるでしょう」
「でももし、4番目の御子さまを誰かが皇太子に推したいと、この国を治めさせたいと思っていたら…?」
月子は思わずそんなことを聞いていた
彼らは面白そうに月子を見て微笑む
「今、3番めの御子さまを狙って得があるのは4番めの御子さまだけになりますね」と、悠然とカヤが答えた
「子どもの浅知恵だと思って構わない。けれど私たちは、まだこの宮は安心だと思うし、思っていたい」
緊張しているのか、ゆっくりと硬い声でギンが言うと、ヤナギも深く頷いた
「あの…もし、途中で御子さまが…その、ご病気とかでも亡くなられたら…?」
おずおずと手をあげて、ひな姫が尋ねると彼らは顔を見合わせた
「誰が御子さまか分かるのは、成人の儀…」
そう呟いたのは千姫で、心の声が思わず口に出たようで、自分でもキョトンとしている
それに、ヤナギが安心させるように頷いて口を開く
「そう。成人の儀までは何があってもこのまま…」
このまま…じゃあそのあとは…? と月子は思う
月子は政略結婚が当たり前のお貴族さまと、自分は違うと思っていた
彼女たちや彼らは、同じ貴族という括りで釣り合いがとれていても、自分はそのあとどうなるのだろうと思った