Prologue(2)
「ゴール……」
走り始めてから5分ほどで完全に巻いたけど、なぜか学校に着くまで走ってしまった。
でも、だからこそ味わえる達成感というものがあるはず。
「しゅんちゃん、おはよ!」
我ながら訳の分からないことを考えていると、横から聞きなれた声がした。
「はぁ、はぁ……おはよう」
息と整えてから挨拶して、隣を歩く。
こいつは羽野亜由美(Hano Ayumi)、俺はあゆみって呼んでる。
長い黒髪を後ろの方で一箇所リボンのようなものでしばっていて、身長は180ぐらいの俺の胸元当たりに頭が来るぐらいの身長。
髪型のことは良く分からないけど、顔は結構整っているし普通に可愛いとは思う。
そして、家が隣の幼馴染、小学校の時から高校に入ってもずっと同じクラスと若干呪われてる。
どんな腐れ縁なんだろうな、確率でいったらどれぐらいになるだろう?
「どうしたの?」
「あ、いやどうもしないよ」
流石に、君のことを考えていたんだよ、とは口が裂けても言えないよな。
てか裂けたら、それどころじゃなくなりそうだな。
痛そうだし、恐いし、妖怪の次元になってくるし。
「……また、どうでもいいこと考えてるでしょ」
「ご名答、そのとおり」
気付くと思い耽っているというか妄想しているっていうのは、自覚しているが面倒なので直す気はない。
というか、直すとか考えるほどのことでもないよな。
「あっ、また怪我してるー! やっぱり一緒に登校した方がいい?」
幼馴染である彼女は、俺がやけにトラブルに巻き込まれる事を知っている上でそういっているのだろう。
「いやただのかすり傷だし、一緒にいると大変だろ?」
小学生の時は、自分が生きるので精一杯で一緒に登校することを全力で拒否していた。
正直、よく今日という日を迎えられたと思う。
「そう……だね」
中学生に入って1年と2ヶ月ほどが経った頃。
というか夏休み前ぐらいだったなぁって記憶だけど、その時は普段登校するときの二倍は疲れた。
最終的には、背中に背負って走っていたからな。
トラウマになって無くて本当に良かった。
学校に着いた時はなんか幸せそうな顔してて、俺のせいでおかしくなってしまったんじゃないかって本気で心配したという苦い経験だ。
用は、俺と一緒に登校するのは命がけという嫌な結論に達するわけです。
どうでもいいけど、そのおかげで大抵のことでは動揺しないという特技を身に付けた。
「ほら、肘出してよ」
「ほい」
大丈夫だって抵抗しても見せるまでしつこいので、しょうがなく素直に従う。
こいつのこういうお節介な所、嫌いではないしね。
「いやです」
「一度は断る……いい方法だ。流石だな、遊馬」
時は放課後、良く絡んでくる先輩その1に教室を出る前に捕まった。
確か2年B組、名前は秋月流雅(Akiduki Ryuga)。
嫌なこと、無茶なことを頼んでくる先輩。
眼鏡を掛けていて、目に軽くかかるくらいのいい感じの髪の長さ、若干金髪っぽい色で顔も一応かっこいいのだが性格に問題が。
そして、ペテン師のように口が動くし、人の言う事聞かないしで俺の苦手な人だ。
「断固拒絶します、というかしているんですよ!」
何やら、変人(?)を追い求めているご様子で、最初の方は言い包められて手伝わされていた。
「そんなに暑くなるな……でも、そうか」
そういうと、俺の方を向いていた流雅さんの目は若干横にずれた。
「だが、後ろにいる羽野は手伝ってくれるそうだよ」
「しゅんちゃんと一緒にですよね、秋月先輩!」
いつの間にか、あゆみは流雅さんに言い包められていたようだ。
「で、でも!」
「俺の考えになんの不満がある? ただ、地球人がいるんだから宇宙人がいるだろうと、65億人を超えた人間がいるのだから特殊な能力を持った人間も少しぐらいいるだろうと、美女がいるなら野獣もいるだろうと……もしや、お前は夢を追い求める童心の心を忘れてしまったのか?」
眼鏡を輝かせこんなことを言っているんだ、関わりたくないのも分かるだろ?
そして、このパターンはこのまま連れて行かれてしまうという……。
「どうしたのかしら? 秋月くん」
その声は、一見タイミング的には救いの声に聞こえるが、俺には良く絡んでくる先輩その2との出会いであり、二人目の悪魔の到来の音でしかない。
「おお、これはこれは井之上ではないか」
彼女は、この学校の生徒会長で井之上葉月(Inoue Hazuki)。
流雅さんと同じクラスで勉強と運動共に優秀、先生や生徒からも信頼が厚く出来すぎたと言ってもいいぐらいのお方。
……表向きね。
ストレス発散かしらないが、この井之上さんも俺のことを巻き込みやがる人です。
でも、他の人間からの印象は長い黒髪とアイドルも顔負けしそうな容姿、さらに品のある動きといろいろな面での優秀さからこの学校一の美女と謳われているようだ。
「聞いてくれよ、この町の唯一の危険地帯、誘いの森と噂の高い月木山の麓に一緒に探索に行こうと言っているだけなのに、何故か断るんだよ」
なんだよ危険地帯って、断るのが当たり前でしょ。
「あら、それは面白そ……危ないわね、早速準備しましょうか。今日は生徒会もお休みしなくてはね」
わざわざ言い換えといて、行く気満々ですか。
「俺は行きませんよ?」
その俺の発言により、3人ともこちらを向いた。
「……行かないの、しゅんちゃん?」
「子供のようにはしゃいで行くって言うのが恥ずかしいからといって、すねる事は無いだろ? それに俺の情報と勘が正しければ、今日、あの場所で絶対に何か起こるんだよ、気になるだろ?」
「生徒会長として、命令するわ。……キナサイ」
最後の井之上さんの声には寒気を覚えるものがあるので深い描写は抜きということで……ご自由にご想像下さい。
メインキャラの登場です。
更新のペースは週1回ぐらいで行きたいと思います。
最初は書き溜めたのがあるので、がんがん更新してもいいんですが、それだと詰まるので^^;
修正加えて、更新していきます。
それにしても、俺は流行にちょっと遅めですが乗りましたよ!!
新型インフルエンザ!!
もうほぼ完治しましたけど、40度近くなるとぼーっとしますね。
流石にきつかったです;;
皆さん、気をつけてくださいね!