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意識を失ったさくら
「———さくら————」
僕はそっとさくらの肩の辺りに触れた。フッと意識が遠のきそうになり、何かの光景が見えた気がした。やけに白っぽかったけど———僕は、グッと歯を食いしばって、身体に力を込めた。こんな状態で、僕の意識まで持っていかれる訳にはいかない。
「ハア、ハア」
「おい、翔、大丈夫か?」
「翔平の身体、一瞬グラッとなったぜ」
「ごめん。さくらの身体に触れた瞬間に、意識が飛びそうになった———でも、大丈夫だから」
きっと、僕一人じゃ駄目だ—————ラウラス、助けてくれ。僕に力を、さくらを助ける力を———。
僕は、ラウラスに来てもらった。悟と樹の顔にも、微かに安堵の様子が見て取れた。
「なんか、さくらは、変な場所にいる————ここじゃない。ここには身体だけだ」
「な、じゃあ、いったい何処だよ?」
「とにかく、一旦僕の家に戻る。二人とも捕まって」
僕は三人と一緒に、僕の家に瞬間移動をした。