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第三部  僕の心臓が動いていることと、僕が狙われだしたこと    作者: 狼の土偶
第四章 さくらの思いと僕の気持ち
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悪夢と弱さ

 泰河の話を聞いたところで、僕らはお昼にすることにした。僕も適当に用意してあったし、さくらのおばあさんのお惣菜もあった。あとの三人もいろいろ持ってきてくれたし、みんなでそれを食べた。ただ、僕はあまり食欲が湧かなかった。

「しっかし、あんな壮絶なことを乗り越えてきていたとはな。全然俺も気が付かなかったぞ」

 悟は泰河の経験したことを本当に驚いていた様だった。でも、それは僕も同じだ。

「それは、俺が言わなかったから。本当は、誰にも言うつもりはなかったんですけどね」

 ああ、僕が言わせたようなもんだな。

「でも、言ってすっきりした顔しているぜ。逆によかったんじゃね?」

「そうかもしれませんね。まあ、普通じゃない状況にいる先輩たちだから、言えたんですけどね」

「泰河さ、泰河の友達までは無理かもしれないけど、家族には話してみたらどうかな? その、今話したこととかでなくて、別の星に行かなくちゃいけないことをさ」

「でも、結局会えなくなるし……………あっ」

 泰河は思いついた様な顔をして、僕の方を見た。

「そう、僕がいる限り会えるよね」

「でも、両親に話しても、俺のことを忘れてしまうだけだと思うし————」

「そうかもしれないけど、どうにかなるんじゃないかな? 少なくとも、僕らはきっと忘れない。泰河が別の星に行ってもね。僕はそうだって気がする。だいたい、ほんの少しだったけど、泰河の星にも行ったでしょ。それに、ゾラや小鬼たちも、もう泰河のこと知っているしね」

「忘れるらしいんです。いなくなった人間のことは。元々いた世界の人たちは————光の加護のところで聞きました。今だけ、それが帳消しになっているけど、またきっと忘れてしまう——————でも、少し考えてみます。前とは、きっと全然状況が違うから————」

「うん、そうだよ」


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