15/302
見える様になったさくら
「それで、昨日の夜は、何も見えなかったけど、その時と似たような怖い感じがしたから、もしかしたらと思って、翔平君に連絡をしてみたの。なんだか嫌な予感もしたから」
「そうだったんだね。それで、僕も幽霊を見たって言ったから、心配してくれたんだね」
「うん」
「でも、僕はそこまで怖く感じなかったよ。消えていったあとはなんだか凄く怖かったけど」
「そうそう、翔は、昨日は確かに怖がっていたからな。翔があんな風に怖がっているところ初めてみたぞ」
「あ、俺も見たかったな。翔平には、怖いものなんてなさそうだもんな」
「僕にだって怖いものはいっぱいあるよ」
「知ってるけど、そういうのと違うだろ?」
僕が何に対して言ったか、分かったんだな。僕は、怖くて仕方がないから、もっと強くなろうと努力している。できるなら、誰にも怪我してほしくないし、苦しんでほしくもないし、絶対に失いたくないから————。