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見える様になったさくら
昼休みになって、樹と一緒に屋上へ行くと、屋上のドアの前には、悟と一緒にさくらと佐々木もいた。
「あれ? 水瀬さんどうしたの?」
僕は、屋上へ続く扉の鍵を開けながら訊いた。
「やだー、本当に簡単に開けてる。さっきは確かに鍵が掛かっていたのに」
佐々木は不思議そうに鍵を開けた僕の手元を見ている。
「まあ、これくらいの鍵は、俺だって開けられるけどな」
「そうそう、最初は樹が開けてくれたもんね」
「えっ? 河野が? どうやって」
佐々木は驚いた顔をしている。
「ピン使えば開けられるって。これくらいのは」
「それは、泥棒の才能ね」
僕らは屋上に出て、適当なところに座った。
「水瀬さん、もしかして、昨日の幽霊の話?」
「うん。なんだか気になっちゃって」
「確か、最近見えることもあるとかって」
「う……ん」