失恋していた悟
昼休み、いつもの様に屋上に僕ら三人は集まった。
「お前たちのクラスの転校生、可愛いな」
悟は僕と樹のクラスまで見に来なかったけど、やっぱり気になっていたみたいだ。
「だろ~、かなりヤバイって————ただ、少しとっつきにくいかもな~」
「そうなのか?」
「なんか表情が見えないっていうか? 誰と話していてもあまり楽しそうじゃないしな」
「ああ、確かに……」
「翔から見てもそうなのか? まあ、俺は相田一筋だから別にいいけどな」
悟は一年生の時からずっと相田佳代子が好きだ。
「悟、そろそろ告ったらどうだ? 最近結構仲いいんだろ?」
「ま、まあそうだな……」
自分の恋愛話になると悟は歯切れが悪い。
「悟の良さを分かってくれたら、絶対にいけるよ」
言ってみて、少し無責任な発言をしたような気がした。それでもしダメだったら?
「実はもうこないだ言った」
「えっ⁉」
僕と樹は同時に声を上げてしまった。
「なんか好きな奴がいるみたいだ………」
「へえ~、誰だか知ってんの?」
樹の言葉に、悟は僕をチラッと見て、直ぐに視線をそらした。
「あー、もしかして翔平ってか? まあ、なんだ、悟。元気出せ」
樹が悟を気遣うように、背中を数回軽く叩いた。
「いや、別に気にしてない。どうせ、翔は水瀬がいるしな」
さくらがどうとかそういう問題じゃなくて、全く考えたことも意識したこともない相手だ。しかも悟が好きな女子が僕をって————迷惑でしかない—————。
僕は急に気まずさを感じた。