転校生
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みんなで僕の家に集まった次の日の月曜日、僕らのクラスに転校生がやってきた。アメリカから来たの日系人と白人とのハーフらしく、日本語の発音に少しの訛りがあった。
茶色の顎のラインの長さの髪の毛は、くせ毛なのか、少しパーマが掛かっているようにみえる。背は割と小柄だけど、可愛くてスタイルもいいと男子が大はしゃぎをしている。
「ヤバッ、翔平、あの子可愛すぎねえ? ハーフって、なんかこう違うよなあ~」
樹が鼻の下を伸ばしたような顔で、休み時間に小さめの声で僕に話しかけてきた。
「確かに綺麗な子なんだろうね」
僕は取りあえず相槌を打っておく。他クラスの男子も、用もなさそうなのに僕らのクラスに群がってきていた。
「でも、高校で転校生って言うのも珍しいよね」
「そうだなあ~、まあ、親の仕事の都合みたいだからなあ~」
樹は、チラチラ転校生の篠崎ソフィアを見ている。そんなに見るのはどうなのかと思うけど、今ここにいる男子のほとんどが見ているようなものだから、何も言えない。
「ちょっとー、男子たちうざい。そんなんじゃ、転校生が居心地悪くなるでしょ」
クラスの副委員長をやっていて、ハキハキした話し方をする戸倉瀬奈が大きめの声で言った。
「ごめんね~、馬鹿な男子ばかりで」
既に何人かの女子に、篠崎ソフィアは囲まれている。
「私は別に大丈夫だから」
自己紹介の時も思ったけど、篠崎ソフィアは淡々とした話し方をする子だなと思った。そこに感情があまり含まれていない様に見える。表情もほとんど変わらない。
「間違ってもお前相手には騒がねえよ」
田中康太は、いつも戸倉瀬奈とやり合う。女子相手でも言葉がきつい奴だ。この二人とは一年生の時は別のクラスだったけど、二年生になって同じクラスになった。僕としては、田中康太は苦手な部類だ。正直、樹が同じクラスのおかげで、被害に合うこともないと思っている。