吸血鬼が死んだ! 【異世界編】
異世界でのとある日。
私、凪咲、仄香、冷香の四人でとある村に来ていた。
「ここが人を襲う悪魔が出るってとこる?」
今仄香が言ったように、この村には先日から悪魔が現れて人を襲っているらしい。その悪魔を倒すために今日私たちはこの村に来たのだ。
「普通の村だね」
凪咲が周りを見てから呟く。私も周りを見てみたけど変わったところのない普通の村だ。私たちも異世界に来て半年以上、色々旅をして来たけど、その途中によく見た村と大した違いも感じない。
「何でここに襲いに来るんだろ?」
冷香が首を傾げて疑問を口にする。
う〜ん。確かに何でだろ。実はこの村には何かあるとか?
それとも特に理由はないのかも。
そんな感じで村に入って暫くのことだった。
「あ、悪魔だー!?」
少し離れたところからそんな叫び声が聞こえてきた。
「みんな、行こう!」
その声を聞き、全員が声の方へ走り出す。
声はそんなに遠くからじゃなかったし、全力で走れば間に合うはず。
足に力を込めて駆ける。思いっきり力を込めたので私がみんなより前にでる。
「いた!」
すぐに悪魔らしき怪物を見つけた。
村の人たちは逃げていたけど、数人の槍を持った人たちが立ち向かっていた。
よし、誰にも被害は出てないね。間に合った。
このままあっちから行けばすぐに行ける。
そう思って草の生い茂っている場所を通って行こうとした。
するとその草の生えたところに足を踏み入れた途端、
「え?」
不自然に足が沈み込み、そのまま私の体は重力に従って落下した。
「なっ!?ぐっ――」
しかも落ちた先には槍が先端を上に向けて複数設置されており、そんなところに落ちた私は体に大量の槍が貫き穴を開けた。
何これ!?落とし穴!?
全身に突き刺さってて滅茶苦茶痛いんだけど!?
「み、巫子ちゃん、大丈夫!?」
穴の上から凪咲の声が聞こえてくる。
「だ、大丈夫じゃないけど、先に行って!」
みんなに聞こえるように叫ぶ。うぅ、痛い。
「分かった!先に行ってる!」
私の叫びに仄香が元気に答えてくれた。
……少しは心配してほしいよ。いくら不死身なのを知ってるからって薄情じゃ無いかな?
とはいいつつも、私よりも村の人たちの方が危険な状態だからいいんだけど。
とりあえず霧化して抜け出す。
あぁ、滅茶苦茶痛かった。誰だよ、こんな酷い落とし穴作ったのは!
悪魔の方を見るとすでに仄香が倒していた。
「あはは、巫子ちゃん、何してるの?」
「笑わないでよ!滅茶苦茶痛かったんだよ!?」
隣にいた凪咲に揶揄うように言われた。凪咲は悪魔を仄香に任せてここに居たみたい。
「だってほら」
私が凪咲に突っ込むと、凪咲は地面を指差す。そこには私が落ちた穴がたり、その周りを石で囲ってあった。
これって、明らかにここに何かあるってわかるようになってるね。
「こんな分かりやすくしてるのに掛かるなんて」
クスクスする凪咲。
確かにこんな分かりやすい罠に掛かるなんて恥ずかしい。
悪魔を倒そうとして落とし穴に落ちるなんて、あの作品の勇者みたいだ。彼も普通は引っ掛からなそうな罠に掛かってたし。
「罠を作った人に体取られなくてよかったね」
「私死んでないからね!」
私と同じ人物を浮かべたであろう凪咲が揶揄ってくる。
「まぁでも、落ちたのが巫子ちゃんでよかったよ」
「よくないけど!?」
凄く痛かったんだけど!?何が良かったさ!?
少し安心したように言う凪咲の言葉に驚く。酷くない?
「だって勇者は仄香ちゃんだから」
「あー」
そっか……。
凪咲の言葉に納得する。
あの作品でも勇者が落ちてたし、それと一緒だったら仄香が落ちてた。しかもこんな凶悪な落とし穴だ。死んでしまうかもしれない。
そう考えると私でよかったけど。
「それでも、全然良く無いから!」




