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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
77/79

吸血鬼が死んだ! 【異世界編】

 異世界でのとある日。

 私、凪咲、仄香、冷香の四人でとある村に来ていた。


 「ここが人を襲う悪魔が出るってとこる?」


 今仄香が言ったように、この村には先日から悪魔が現れて人を襲っているらしい。その悪魔を倒すために今日私たちはこの村に来たのだ。


 「普通の村だね」


 凪咲が周りを見てから呟く。私も周りを見てみたけど変わったところのない普通の村だ。私たちも異世界に来て半年以上、色々旅をして来たけど、その途中によく見た村と大した違いも感じない。


 「何でここに襲いに来るんだろ?」


 冷香が首を傾げて疑問を口にする。

 う〜ん。確かに何でだろ。実はこの村には何かあるとか?

 それとも特に理由はないのかも。


 そんな感じで村に入って暫くのことだった。


 「あ、悪魔だー!?」


 少し離れたところからそんな叫び声が聞こえてきた。

 

 「みんな、行こう!」


 その声を聞き、全員が声の方へ走り出す。

 声はそんなに遠くからじゃなかったし、全力で走れば間に合うはず。

 足に力を込めて駆ける。思いっきり力を込めたので私がみんなより前にでる。


 「いた!」


 すぐに悪魔らしき怪物を見つけた。

 村の人たちは逃げていたけど、数人の槍を持った人たちが立ち向かっていた。


 よし、誰にも被害は出てないね。間に合った。

 このままあっちから行けばすぐに行ける。

 

 そう思って草の生い茂っている場所を通って行こうとした。 

 するとその草の生えたところに足を踏み入れた途端、


 「え?」


 不自然に足が沈み込み、そのまま私の体は重力に従って落下した。


 「なっ!?ぐっ――」


 しかも落ちた先には槍が先端を上に向けて複数設置されており、そんなところに落ちた私は体に大量の槍が貫き穴を開けた。


 何これ!?落とし穴!?

 全身に突き刺さってて滅茶苦茶痛いんだけど!?


 「み、巫子ちゃん、大丈夫!?」

 

 穴の上から凪咲の声が聞こえてくる。


 「だ、大丈夫じゃないけど、先に行って!」


 みんなに聞こえるように叫ぶ。うぅ、痛い。


 「分かった!先に行ってる!」


 私の叫びに仄香が元気に答えてくれた。

 ……少しは心配してほしいよ。いくら不死身なのを知ってるからって薄情じゃ無いかな?


 とはいいつつも、私よりも村の人たちの方が危険な状態だからいいんだけど。


 とりあえず霧化して抜け出す。

 あぁ、滅茶苦茶痛かった。誰だよ、こんな酷い落とし穴作ったのは!


 悪魔の方を見るとすでに仄香が倒していた。


 「あはは、巫子ちゃん、何してるの?」


 「笑わないでよ!滅茶苦茶痛かったんだよ!?」


 隣にいた凪咲に揶揄うように言われた。凪咲は悪魔を仄香に任せてここに居たみたい。


 「だってほら」


 私が凪咲に突っ込むと、凪咲は地面を指差す。そこには私が落ちた穴がたり、その周りを石で囲ってあった。

 これって、明らかにここに何かあるってわかるようになってるね。


 「こんな分かりやすくしてるのに掛かるなんて」


 クスクスする凪咲。

 確かにこんな分かりやすい罠に掛かるなんて恥ずかしい。

 悪魔を倒そうとして落とし穴に落ちるなんて、あの作品の勇者みたいだ。彼も普通は引っ掛からなそうな罠に掛かってたし。

 

 「罠を作った人に体取られなくてよかったね」


 「私死んでないからね!」

 

 私と同じ人物を浮かべたであろう凪咲が揶揄ってくる。


 「まぁでも、落ちたのが巫子ちゃんでよかったよ」


 「よくないけど!?」


 凄く痛かったんだけど!?何が良かったさ!?

 少し安心したように言う凪咲の言葉に驚く。酷くない?


 「だって勇者は仄香ちゃんだから」


 「あー」


 そっか……。

 凪咲の言葉に納得する。

 あの作品でも勇者が落ちてたし、それと一緒だったら仄香が落ちてた。しかもこんな凶悪な落とし穴だ。死んでしまうかもしれない。

 そう考えると私でよかったけど。


 「それでも、全然良く無いから!」

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