吸血鬼の百合はお仕事です!
異世界から帰ってきたとある日。
「カレン、タイが曲がっていてよ」
「み、巫子お姉様……」
私がカレンの曲がったタイを綺麗にしてあげると、うっとりとしたように私を見つめてくるカレン。
私たちは現在、コンセプトカフェでバイトをしている。コンセプトはお嬢様学校。百合百合しいやつだ。
私がお姉様役でカレンがその妹。
「でも巫子ちゃんって、お姉様って感じはしないよね」
そんなことを凪咲に言われてしまうがスルーする。
そんなのは分かってるけど、それでもやりたかったんだからいいじゃん。
「ぷぷ、なにそれー」
お姉様を演じる私を見て笑っているのは仄香。仄香も私と同じお姉様役のはずなのに彼女はいつもと変わっている様子はない。
「お姉ちゃん、服乱れてるよ」
仄香の服を綺麗にするのは実の妹であり、妹役でもある冷香。
でもこれ、逆だよね?
「巫子お姉様、あちらのテーブルを片付けてきますの」
「……えぇ、ありがとう」
カレンがテーブルを片付けに行ってくれる。
何だろう。カレンが優秀なのはいいことだけど、こう、もっと私の出番を作って欲しい。
カレンは王女ということもあって礼儀作法もしっかりとしてるし、周りのこともよく見えていて気がきく。だから私が「仕方ないわね」と言って面倒をみる機会が殆どない。これじゃあお姉様役が出来ないよ。
もう、お姉様はカレンに任せて私、妹役やろうかな。
と、いうことで。
「お姉様。私、みなさんのお役に立てるよう、精一杯頑張ります!」
みんなに好かれる外面のいい、あの作品の妹をイメージしてやってみる。
「……それじゃあ、あそこのテーブルの片付けをお願いしますの」
「はい、お姉様!私頑張るのでちゃんも見ててくださね」
少し上目遣いで全力で可愛くなるようにカレンに返す。
うん、あの娘みたいにみんなに可愛いって思われるように出来てるはず。
「……」
「あれ?カレンどうしたの?」
急にカレンの動きが固まってしまった。なんだか少し顔も赤いような。
「カレンちゃんには効果覿面だったみたいだね」
あー、そういうことか。
凪咲の言葉に少し納得する。カレンはその、私が好きでわざわざ異世界から来てくれたわけだから、そんなカレンに全力で可愛く振る舞ったからキュンときてるんだと思う。
……自分で言うと恥ずかしい。
「と、とにかく片付けに行ってくる」
恥ずかしくなってきたのでその場から逃げるように片付けに行った。こんな状態じゃ可愛い妹なんてできないよ。




