しゃっくり
「ひくっ」
あ、急にしゃっきりが出てきた。
いつも通り穏やかなとある日の休憩時間。
皆と楽しく話しているとき、急にしゃっくりが出てきた。
「どうしたの巫子ちゃん?」
「いや、急にしゃっくりが出てさー……ひくっ」
何でしゃっくりて何もない時に唐突に出てきたㇼするんだろう?
凪咲に返事をしながらそんな暢気なことを考えていると仄香が焦ったようにあわあわしだす。
「は、早く止めないと!」
急に慌てだした仄香に皆の視線が行く。
急にどうしたんだろう?
「えっと……しゃっくりを百回すると死ぬって……」
慌てる姉の代わりに妹の冷香が説明してくれた。
あー。それは私も聞いたことあるけど、そんなの迷信だ。
私と凪咲が顔を合わせていると、今度はカレンが慌てだした。
「そ、それ本当ですの!?」
「いや、そうじゃなくて……」
冷香が慌てて説明しなおそうとするも、焦っているのか全く冷静でないカレンの耳には届かない。
「そうだね!速く止めないとね!」
どうしようかと思っていたら、わくわくしながら凪咲も話に乗ってくる。
君は分かってるよね!
凪咲はまた、私で遊ぶ気満々と言った顔だ。
「それじゃあ、これ息止めて飲んで!」
水筒を思いっきり渡してくる仄香。
「だ、だから、ひくっ」
「ほらほら、早く!」
慌てる仄香とカレンに説明しようとするも、ニマニマとした凪咲が仄香の指示に従うように促してきて邪魔をする。
「ほらほら!」
楽しそうだなー。凪咲。
もう諦めて付き合おう。
そう決めた私は仄香の差し出す水筒を受け取り、息を止めて一気に水を飲む。
「ひくっ」
だけど、それでしゃっくりは止まらなかった。
そんな私を見て更に慌てる仄香とカレン。
これ、やっぱり教えてあげた方がいいんじゃ。
「あの、ひくっ、だから、ひくっ」
あぁ、もう!
しゃっくりでしゃでりずらい!
「えぇと、そうだ!ビックリさせるんだ!」
そう言い残して仄香はどこかに走って行ってしまった。
「お、お姉ちゃん!」
そんな姉を追いかけていく妹。
よし!この隙にカレンに説明しよう。
「あのねカレン。しゃっくりを百回しても死なないからね」
「ほ、本当ですの!?」
「うん。例えそれで死ぬとしても、私不死身だよ?大丈夫だから」
それを聞いたカレンは、はっとしたような表情をする。
これは完全にっ私が藤目だってことワシれていたみたいだ。
「そ、そうでしたの……慌てて忘れてましたの……」
恥ずかしそうに顔を赤く染めながら俯くカレン。
それ、忘れる?
私の不死身なところ今まで何回も見てるよね?
「あはは。カレンちゃんは相変わらず巫子ちゃんのことになると、冷静じゃなくなるよねー」
今度はカレンをからかう凪咲。
これは少し珍しい。
と、思ってたらニマニマした顔で私の方を向いて一言。
「愛されてるねー」
「……ひくっ」
私も顔を赤くして俯いてしまった。
くそっ!
そんななこと言われたら照れるじゃん!
私がスバ楽しゃっくりしながら俯いていると急に頭に大量の水が振ってきた。
「冷たっ!」
驚いて大声が出てしまう。
そんな私の前には殻のバケツを持った仄香。
もしかて、仄煽りに水を駆けられた。
さっき言ってた、びっくりさせるってこれのこと?
確かにびっくりはしたけど、これは流石にひどくない!?
「どう!止まった!」
心配そうに訊いてくる仄香。
これは、怒りずらい。
私のためにやってくれたことだから、怒るに怒れない。
なので代わりに凪咲を睨んどく。
「あははー。まさかここまでやるとは思わなかったよー。ごめんね」
流石の凪咲も謝ってくれた。
「そうだよ!煽るから!
……あっ、止まった」
凪咲に文句を言ったところでしゃっくりが止まったことに気づいた。
「良かったー」
心底安心した様子の仄香。
うん、まぁ、私をそんなに心配してくれたのなら本当に攻められない。
「ありがと」
そんな仄香にお礼を言う。
でも、次もこんなことがあったら面倒なので、事実を説明した。
だけど、何故か仄香は信じてくれなかった。
この子はどうしてこんなにこの話を信じてるのだろう。
その答えは冷香曰く、
「つい最近見たコメディードラマの中のニュースのシーンであって、そのシーンだけをたまたま見ちゃったから、本当のニュースだと勘違いして信じちゃって……」
とのことらしい。




