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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
60/79

短冊

 今日は七月七日。つまりは七夕だ。


 「七夕、ですの?」

 

 カレンが可愛らしく小首を傾げながら疑問を口にするので七夕について説明する。


 「七夕はね、この短冊って紙に願い事を書いて笹に飾ると願いが叶うっていう行事だよ」


 「この紙に書くだけで願いが叶うんですの?」


 「うん。まぁ、御呪いとかそういうので、本当に叶う訳じゃ無いけどね」

 

 それでも不思議なもので、短冊に願いを書くと叶うこともあるのである。

 と言っても、こういう行事は今となっては皆で楽しむための娯楽の一つだから、やること自体に意味があるのだ。

 願い事云々は置いといて、皆でワイワイするのが楽しいからね。


 「巫子ちゃん、織姫と彦星の話はしないの?」


 「まぁ、それはべつの機会にということで」


 その二人の恋愛話は置いといて私たちは短冊を書くことにした。






 「それで、皆は何て書いたの?」


 全員が書き終わったであろうタイミングで皆に声を掛ける。

 

 さーて。皆はどんな願い事を書いたのかなー?


 

 やっぱりこういうのはワクワクするよね。


 「はいはーい!アタシから!アタシはね、ヒーローになる!って書いたよ」


 まず最初に手を挙げたのは、いつも元気な仄香だ。

 元気よく大きく手を上げながら短冊の内容を教えてくれる。


 でも、それって願い事?

 願い事というよりは宣言じゃない。「なりたい」じゃなくて「なる」だし。

 それにヒーローって、仄香は勇者だよね?

 殆どヒーローみたいなものだと思うけど。

 まぁでも、仄香らしいね。


 何故かドヤ顔の仄香には皆で温かい視線を送る。

 この子にはいつまでも元気でいてほしい。何で願いが出てくるよ。


 「冷香は?」


 そして先陣をきった仄香が後々の冷香に次を促す。


 「私はこれだよ」


 冷香が自分の短冊を見せてくれる。

 そこには「皆がいつまでも元気でいられますように」と書かれていた。

 

 この二人、姉妹揃ってあまり欲がないね。

 ……私、書き直そうかな?


 そんな事を考えていると凪咲が私の方を向いて口を開く。


 「次、巫子ちゃんね」


 「な、何で私?」


 「だって、巫女ちゃん、二人の見て欲望ダダ漏れの願い事変えちゃわないかなって」


 「そ、そんな訳ないでしょ!?」


 ば、バレてる。

 何でこの子はこんな時いつも鋭いんだ。


 「ほらほら〜」


 「……はい」


 諦めて皆に私の書いた短冊を見せる。

 そこには「可愛い子ときゃっきゃうふふにたのしみたいねと書かれていた。


 「……」


 何で無言!?

 だって、何も思いつかなかったんだもん!


 悩みに悩んで最初に出てきたのが魔王ルシフェルだったのだ。

 でもそんなことを書いたらまたショタコンとかからかわれそうだったので可愛い子にしたのだ。


 「ぷぷっ。はい」


 少し笑いながら自分の短冊を見せてくる凪咲。


 な、何その嫌な顔。


 不安になりながら凪咲の探査幕を見る

 そこには「巫子ちゃんのショタコンが治りますよ王に」って書かれていた。


 「だからショタコンじゃないからね!?」


 本当にこの子は!?


 それにしてもタイミングが合いすぎだ。

 もしかしたら私がルイフェルのことを書くと思っていたのかもしれない。


 「それでカレンちゃんは?」


 私と凪咲がいつも通りワイワイ言い合っているのを横目に冷香がカレンに次を促す。

 それを聞いてカレンは顔を真っ赤にしながら皆に短冊を見せる。


 「ミコと結婚したい」。

 そこにはそう書かれていた。


 「えっ!?えーと、そのー」


 その願い事に私は戸惑ってしまう。


 もちろん嬉しいよ。

 そんな風に思ってくれて嬉しいは嬉しいんだけど、どう答えて良いのか反応に困る。


 私はこう言ったことは苦手なのだ。


 「巫子ちゃんまで顔真っ赤だよ」


 からかいような口調の凪咲。

 それなら私は反論したんだけど。

  

 「だ、だって!?」


 全然ちゃんと反論出来なかった。

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