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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
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ヒーラーヴァンパイア  【異世界編】

 邪神を倒してからの日本に帰るまでの異世界でのとある日。

 私と凪咲、双子の仄香、冷香の四人でとある街に観光に来ていた。


 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」


 四人で街中を歩いていると道の先から子供の声らしき悲鳴が聞こえてくる。

 その声を聞いて私たちは顔を見合わせた後にその場に駆けつける。


 「大丈夫?」


 声の下所に行くと、そこには血を流した膝を抑えて泣いている子供がいた。

 その子に声をかけるも、泣いていて返事が返ってこない。


 「れ、冷香って、回復魔法とか使えたっけ!?」


 慌ててこの中で一番魔法が得意な冷香に訊く。


 「うんん。ごめんね、使えない……」


 少し落ち込んだようにしながら首を横に振る冷香。

 回復はいつも上田先生が担当していたからしかたない。


 それじゃあどうしよう。

 とりあえず応急処置はしないとだよね……


 「ちょっと開けて」


 絆創膏でもなかったかなとポケットを探っていると、私たちの間を割って一人の女性が子供に近づく。


 「泣かないで、今治してあげるから」


 優しく告げる女性。

 回復魔法でも使えるのかなっと思っていると、急に歌いだした。


 「♪」


 すると血が流れていた膝が淡い光に包まれる。

 そしてしばらくすると、傷が塞がっていた。


 「よし!これで痛くないだろう」


 「あ、ありがとう!」


 優しく呟く女性に傷の治った子供が元気よく満面の笑みお礼を口にした。





 「えっと、今のは?」


 あれから暫くして、子供が去った後、あったことを女性に聞いてみる。


 「うん?歌唱魔法のこと?」


 歌唱魔法?

 初めて聞いた。

 

 歌って傷をいやす。

 この世界にもあの子たちみたいな歌って治療する職業があるのかな?


 「うん。その歌唱魔法って言うのは、歌えば傷が治せるの?」


 「えっと、少し違うかな?

 歌唱魔法は、ただ普通の魔法の詠唱を歌でするだけだから、回復以外にも他に色々と出来るよ?」


 そうなのか。

 それは凄いんだろうけど、何か残念だ。

 歌って治す専門家みたいなのがあったら嬉しかったのに。


 「それって誰でも使えるの?」


 少し落ち込んでいる私に気づくことなく、テンションの上がった仄香が女性に問いかける。


 「えぇ。魔法が使えるなら練習をすれば誰でも歌唱魔法は使えると思うわよ」


 「おぉ!」


 女性の返答にテンションを更に上げる仄香。

 冷香も少し興味深そうにしている。

 凪咲はというと……こっち見てニヤニヤとしていた。

 この顔はまた私をからかう気だ。


 「ねぇ巫子ちゃん」


 ニヤニヤ顔で話しかけてくる凪咲。

 次の言葉は何となく予想がつく。


 「巫子ちゃんも、挑戦してみたら?」


 やっぱり。

 私が歌が少し苦手なのを分かって言ってる。


 何とか誤魔化さないと。


 「べ、別に、歌うのが嫌とかじゃないけど、辞めとく」


 「え~。一緒にやろうよ~。

 仄香ちゃんも巫子ちゃんと一緒に頑張りたいよね?

 やる前から諦めるなんてよくないよね?」


 「そうだぞ!ミコ!一緒に頑張ろう!」


 別に諦めてないよ!?

 そもそも歌いたいとも思ってないからね!?


 仄香がうまく凪咲を乗せて味方につける。


 「冷香もそう思うよね!」


 そして妹も味方にしようとする仄香。

 だけど、冷香の反応は良くない。


 「えっと……巫子ちゃんが嫌ならいいんじゃない?」


 私から目を逸らして答える冷香。

 

 あれ?おかしいな?

 冷香は私の見方をしてくれてるはずなのに、何かが心に刺さるな。


 「嫌?どうして?」


 純粋に首を傾げる仄香。


 「ほら、巫子ちゃん、歌は……」


 「あ!そっか!ミコはオンチだった!」


 仄香が冷香の言いたいことを理解して大きな声を出す。


 「お、音痴じゃないよ!?ちょっと歌うのが苦手なだけだから!?」


 私は音痴ではない!

 本当にホント。

 すこし、ほんの少しだけ苦手なだけだ。


 「くすす」

 

 そんな私たちのやり取りを見てくすくすと笑っている凪咲。

 

 本当にこの子は!


 少し文句を言ってやろうと凪咲の方を向くと、私より先に凪咲が口を開いた。

 

 「メフィストちゃんも聞きたいよね?巫子ちゃんの歌」

 

 凪咲が問いかけてきたのは私ではなく、私と契約している邪精霊のメフィスト。

 するとメフィストが目の前に現れる。


 「わ、我はどちらでもいいけど……ミコが歌いたいなら聞いて上げなくもない……」


 そんなこと言ってないよね!

 歌いたいなんて一言も言ってないからね!?


 心の中でメフィストにツッコミながらもメフィストの本音は理解する。

 この子はツンデレだから要は翻訳すると、


 『聞きたい』になる。

 

 それはとっても嬉しいし、そんなメフィストも可愛いけど……。


 「ほら巫子ちゃん、メフィストちゃんもこういってるんだし」


 ぐぬぬ。

 メフィまで味方につけるとは。


 「あの…‥‥少しくらい歌うのが苦手でも、歌唱魔法は使えるわよ?」


 私たちの話を聞いていた女性が優しく私に話しかけてくれる。

 

 そっか、少しくらい苦手でも大丈夫なのか。

 私は音痴じゃなくて少し、ほんの少し苦手なだけだからやってみようかな?


 「少し……?」


 あれ?おかしいな?

 冷香が冗談を言うなんて。

 きっと気のせいかな。


 「そうだよ!頑張ろう!」


 何故か仄香は私を乗せてくる。


 み、皆がそこまで言うなら歌おうかな?


 そして私は皆に乗せられて歌ったんだけど……


 「ミコ~~~♡」


 デレデレになって私に抱き着くメフィスト。

 大量の精霊たちが私の周りを楽しそうにくるくるする。

 そして天気は荒れに荒れていた。

な「そういえば、巫子ちゃんが歌うと精霊たちが酔ったようになるんだったね」

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