雪だるま
とある冬の日。
今日は世界が真っ白だ。
授業が終わって放課後、校庭にでる。
そこは雪が積もっていて一面銀世界。
「すごっいー!真っ白ー!」
皆もテンションが高いが人一倍テンションの高い仄香。
「お姉ちゃん。防寒具しっかりして」
そんな防寒具も何もつけてない制服姿の姉にマフラーを巻く妹の冷香。
「巫子はいいんですの?」
仄香と同じように何もつけていない私に問いかけてくれるカレン。
カレンはしっかりと防寒がをつけていてばっちりだ。
「うん。私は大丈夫だよ」
私は寒くても暑くてもあまり関係ないので心配無用。
「巫子ちゃんは馬鹿だから風邪ひかないもんねー」
「馬鹿じゃないわ!吸血鬼だからだし!」
いつも通りなやり取りをする私と凪咲。
そして、仄香が一つ提案してくる。
「ねー、皆で雪だるま作ろうよー。誰がいいの出来るか勝負だー」
皆の賛成も聞かずに一人で始めてしまう仄香。
私たちは四人で顔を見合わせてから、仄香に付き合うことにした。
別に反対する理由もないし、皆で楽しく遊ぶるので問題ない。
そういう訳で、各々雪だるまを作て行く。
勝負と言うなら私も本気で行く。
こういうのは全力でやった方が楽しい。
小さい雪玉を使って丸めていく。
土台となる下の雪玉が大事。
大きく、綺麗に、頑丈になるように作っていく。
ふう。
下はこれくらいでいいかな?
大体私の胸当たりの高さの雪玉が出来たところでいったん周りを見渡す。
「皆はどうかな」
冷香とカレンは綺麗な球体を作るのに苦労していた。
凪咲は綺麗に出来てるけど私より小さい。
仄香は一番大きいけど、球体と言うか、円盤型の雪玉が出来ていて未だに転がし続けている。
「あれで上に乗せれるのかな?」
大きくすることしか考えてない気がするけど大丈夫かな?
けどこのままいけば私の勝ちだよね。
さて、上野も作りますか。
「出来た」
綺麗な真ん丸の球体の雪だるまが出来た。
頭には適当に持ってきたバケツ。
手は落ちてた枝。
顔の部分に石を二つつけて目にする。
完璧だ。
綺麗な雪だるまが出来た。
そこで皆が私の勇気だるまを見に来る。
「おー。巫子ちゃんの雪だるま綺麗」
凪咲の感想に皆も頷いてくれる。
「でも、雪玉以外、いまいちだよね。
帽子も手も顔も雑だし」
えっ、そうかな。
皆こんなのじゃないの?
次は冷香の作った雪だるまを見る。
「おおー」
確かにすごい。
雪玉は私の方が綺麗だけど、それ以外が完敗している。
頭には自分のかぶっていた帽子。
手の枝にも手袋。
目も私と違って適当に拾ったんじゃなくて、左右で会うようにしてある石。
口も笑った枝がつけられている。
流石冷香。
丁寧だ。
そして、カレンの雪だるまは、
冷香と同じように装飾がきちんとしてある。
ちょっと冷香のより形はいびつだけど、目の石が何か可愛い。
石にマジックペンで色を塗っているからかな?
カレンのは全体的に可愛らしさを感じた。
そして、仄香。
「おっきいね」
装飾は私と同じで雑。
雪玉も歪。
けど、凄く大きい。
三メートルを超えている。
「やっぱり、大きいのが一番」
そんなこともないと思うけど。
けど、よく崩れないな。
仄香らしい豪快な雪だるまだ。
そして、凪咲。
「凄い」
凪咲のは圧倒的だった。
装飾は冷香やカレンと大して変わらないけど、そのほかが凄い。
手はなんと、枝じゃなくて雪を固めて腕をしっかり作っている。
足も小さい雪玉が胴体部分の雪玉の下に二つ付いている。
なんというか、全体的にオシャレだ。
「凪咲ちゃんの勝ちかな」
冷香の言葉に皆も頷いた。
まさかこんな凄いのを凪咲が作れるなんて。
今にもてとてとと歩き出しそうだ。
「そういえば、あれって誰が作ったの?
巫子ちゃんじゃないの?
あれが一番だと思うけど」
皆が凪咲の勝利に否定はしなかったけど、凪咲自身がそれを遮ってくる。
あれってどれだろ?
私は一つしか作ってないけど。
凪咲の指さす方を見る。
そこにあったのは、
「ミコ?」
カレンが呟いた。
これは私を呼んだのではなく、凪咲の指さす先にあるものを見て出た言葉だろう。
そこにあったのは白い私。
正確には雪で作られたであろう私そっくりな雪だるま、と言うか雪像。
「あれって巫子ちゃんが作ったんじゃないの?」
「違うよ!自分であんなの作らないし!作るなら誰かのにするよ!」
誰も心当たりがないと顔を見合わせる。
誰が作ったの?
あんなそっくりな雪像。
「もしかして、あの子じゃない?」
凪咲の言葉に首を傾げる。
あの子って誰の事だろ…‥。
あっ。
『もしかして、メフィ?』
凪咲の言ったあの子がメフィストだと思った私は心の中で問いかけてみる。
すると、
「は、はあ!我がこんなの作るわけないでしょ!」
出てきて私の雪像の後ろに隠れるメフィスト。
「ふふ。ありがと、メフィ」
嬉しかったので雪像の後ろに回りお礼を言っておく。
「はあ!だから我じゃないから!こんなの知らないから!」
顔をかくして私から逃げるように雪像の前に行くメフィ。
ツンデレ可愛い。
「そっかー。メフィじゃないのか。じゃあ壊しておこうかなー」
ちょっとからかってみる。
「こ、壊すの!?」
「うん。メフィが作ったんじゃないんでしょ?
だったら誰が作ったかも分からないし、怖いから壊す」
「だ、ダメ!」
私の目の前に出て手を広げるメフィスト。
可愛い。
「何で?」
メフィストが可愛いからついついからかいたくなる。
「う、うるさいわね!」
それだけ残して雪像をもって何処かへ飛んで行ってしまった。
「からかいすぎた?」
それから皆で暫く遊んだ後部屋に帰ってきた。
すると部屋の中にさっきの雪像があった。
「壊したら殺すからね!」
それだけ言ってメフィストは消えた。
別にいいけど溶けるでしょ。
『せっかく作ったのに壊すとか巫子の意地悪。こんな可愛くて素敵なのに』
メフィストの心の声が漏れ聞こえて来る。
多分私には聞かれてないと思ってるんだろうけど。
それから、可愛いとか照れる。
心からの本音だって分かるからなおさらに照れてしまう。
ごめんね。意地悪して。
ありがと。




